三話 ページ6
ロイ「あっ、待って下さい！」
マユ「はあ……っ、はあっ……！」
一心不乱に走っていると、やがて
大きな門が見えてきた。
(とにかく、あの変な集団から
少しでも離れないと！
というか夢なら早く覚めて……！)
護るようにショコラを抱く腕の力を
強めて、門をくぐろうとした
＿＿＿その時。
ロイ「待って下さい！」
マユ「！？」
声は＿＿＿頭上から降ってきた。
まさかと思って仰ぎ見た先に、私を
追ってきた五人が浮かんでいた。
(飛んでる？！何このファンタジーな夢……)
さっき最も怖いと思った人が、真っ先に
私の前に降り立つ。
ガイ「どこへ行くつもりだ。
手間をかけさせるな」
また、目の前に赤い双眼。
見ていると自分の意思が簡単に揺らいで
しまいそうになる不思議な色。
マユ「っ………近寄らないでください」
ガイ「……随分な物言いだな」
フェン「ストップ、睨んじゃダメだよ。
女の子には優しくしなきゃっていつも
言ってるでしょ」
トア「既に魔力の増幅を実感したせいか、
随分余裕があるようだな。
普段以上に、顔が緩んでいるようにも見えるが」
フェン「まぁ、確かに……今ならなんでも
出来そうではあるね。
触っただけでこれなら、キスなんか
したらどうなるのかな」
(はい？？？)
ガイ「おい、それに触れるな」
フェン「……だから、そんな怖い顔
しないでって」
ガイ「……」
ロイ「マユさん、と仰いましたか？」
マユ「！」
ロイ「あ……、驚かせてしまってすみません。
そんなに怯えなくても大丈夫ですよ。
僕たちは、貴方に危害を加える
つもりはありません」
リント「怖いことはしない。
安心していいよ」
(そう言われても……)
心臓が、強く脈打って内側から
胸を叩く。
夢だと分かっていても、目の前にいる
五人が放つ異質な威圧感に、どうしても足が
すくんでしまう。
トア「＿＿顔を上げろ。試させてもらう」
マユ「えっ」
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