三十四話 ページ37
女子生徒「大変よ！
リント様が舞踏会に出席
されるわ！」
トア「……？」
響き渡る大きな声に、帰寮途中だったトアは
思わず足を止めていた。
柱の影に身を潜めるようにして
聞き耳を立てる。
女子生徒２「嘘でしょ！今まで
ご出席されたことないのに？」
女子生徒１「本当よ！
この目で見たんだもの！
転入生の方々をお誘いになって、
ティーノ様による嬉し涙の泉が
できていたわ……！」
トア「！」
女子生徒２「リント様に誘われるなんて
羨ましい……！」
女子生徒３「でも、転入生って？」
女子生徒１「あの瞳の赤色は、おそらく
モーナス国の方だわ」
女子生徒２「リント様に誘われると
いうことは、もしかして王族の
方々かしら……？」
トア「リントが、あれと舞踏会に……」
王立コンコルディア学院の講義は、本当に
２２時までみっちりと
詰め込まれていた。
(疲れた……)
ルナ【ソレデネ、服ノ色ハ黒デ
ルイトオ揃イガ良イ！】
ルーン【アッ！デモアンマリ可愛スギナノハ
ボクガ恥ズカシイカラ止メテネ？】
ルイ「うん、分かってるよ」
結局、魔法の実技系は一度も
成功していない。
ルイくんはお人形たちと熱心にお話を
していて、講義もほとんど聞いていなかった。
(ん……？)
ルーン【アレ？誰カイルネ！】
行く手に仁王立ちする少年の存在に気付く。
ルイくんも気付いたようで、その少年を
じっと見つめていた。
(綺麗な子だな。
ここにいるってことは、学院生？)
目が合ったのでニッコリと笑みをおくって、
横を通り過ぎようとしたら＿＿
？「おい、お前ら」
(えっ)
ルイ「……」
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