三十二話 ページ35
＿＿ハッと、初級魔法の時の
ロイさんファンクラブの
殺気を思い出した。
もしかして私の行動はとても浅慮
だったのかもしれない。
(Ｓランクのリントさんに、気軽に
話しかけたりしたらダメだったのかも……)
女子生徒１「リント様、お話があります」
リント「うん？」
もし、リントさんが責められるようなことを
言われたら、すぐに謝って退散を＿＿
女子生徒２「明日行われる、学院長主催の
舞踏会のことです」
リント「あー……」
ルナ【ア、ソウ言エバソンナ話聞イタネ】
ルーン【ルイモ誘ワレテタネ？
全部断ッタケド】
(え……学院長！？)
女子生徒３「リント様は、ご出席
されますか？」
リント「…………」
無言で女子生徒を見つめたまま、
リントさんは気怠げにコテンと首を傾げる。
女子生徒たち「「か……っ！」」
『可愛い』と言おうとしたのだと、
私にもわかった。
(ロイさんは王子様への憧れとか、
アイドル的な人気に見えたけど)
リントさんの場合は、なんだか
母性本能を微妙にくすぐられる感じだ。
(って、それより舞踏会に行けば、
学院長に会えるかも＿＿)
リント「マユ、一緒に行く？」
マユ「えっ」
ティーノ「！！！！」
リント「勿論、ルイも」
ルナ【エッ、ルイマデ？】
リント「うん。舞踏会、行かない？」
ティーノ「！！！！！！！！！！」
マユ「……あの、学院長も、会場に
いるんですか？」
リント「学院長？知らない。
ほとんどいたことないって聞くけど」
(自分が主催なのに不在なんだ……)
だったら正直、舞踏会に行く時間を元の
世界に戻るための調査に使いたい。
マユ「あの、お誘いはすごく
嬉しいんですが＿＿」
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