二十七話 ページ30
ガイ「俺の見込み違い
だったようだな」
マユ「え?」
急に立ち上がった彼は、私とは
目も合わせずに教室を出ていった。
(な、何あの人……)
アキア「………」
ロイ「皆さん、授業を続けましょう。
………そういえば、その人形は一体…?」
ロイさんが見ているのは、ルイくんが
持っているものと同じ人形。
アキア「あ、これは……」
ルナ【アレ、駄目ダッタカナ?
ルイノ言ウ通リ、大人シクシテタツモリ
ナンダケドナ〜?
キャハハハハハハッ♪】
ルーン【ルナハ、ルイガソノ人ヲ
慰メテッテ言ッタカラ其処ニイルンダヨ♪】
ロイ「そうだったんですね。
……ん?」
ロイさんはルイくんのグラスを見ると、
先程のような優しい笑みを浮かべた。
ロイ「ルイさん、今回の講義は少し
難しかったですか?」
ルイ「……」
リオ「あれ?やってないのか?」
ルイくんは何も言わず、首を傾げる。
(も、もしかして話を聞いてなかった…?)
リオ「えーっとな、今はこの水を
ワインにすれば良いんだ」
ルイ「……?」
再び首を傾げたルイくんは、
とんでもない発言をした。
ルイ「……ルーン、『みず』とか
『わいん』って何?」
マユ「えっ!?」
ルーン【『ミズ』?『ミミズ』
ジャナクテ?】
ルイ「うーん……分からない。
ルナは知らない?」
ルナ【ウーン……分カンナイ!】
ロイ「ルイさん、水が分からないんですか?」
ロイさんが近付くと、ルイくんは
ビクッと肩を揺らして腕の中の人形を
ぎゅっと抱き締めた。
ルナ【ルイニ触ラナイデ!】
ロイ「!」
(えっ!?ええっ!?)
突然のハプニングで教室内がざわめく。
ロイさんが皆を宥めていると、ルイくんは
急に席を立ち、人形達を抱えて
教室から走って出ていってしまった。
その後、何とかロイさんが授業に戻して
くれたけれど、結局この時間、私の目の前に
用意された水がワインになることは、
決してなかった。
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