二十四話 ページ27
ガイ「……」
(隣の人もずっと睨んできて
怖いんです先生……！)
ロイ「出席者は、以上のようですね。
……サータさんとディアさんは、
今日も欠席ですか」
出席簿らしきものに何かを書き込んで
閉じた彼は、一呼吸置くと＿＿体の前に、
スッと手をかざした。
(……？)
ルーン【何ガ始マルノカナ？ワクワク！】
＿＿次の瞬間。
マユ「！！」
ルイ「……」
壁沿いの棚に並んでいた金色のグラスが、
目の前にヒュンッ！と飛んできた。
(な、何が起こったの！？)
恐る恐る中を覗き込むと液体が
入っていて更に驚く。
ルイくんを含む私以外の生徒は平然と
していることにも。
(ルイくん……強い…)
ロイ「配ったゴブレットの中身は水です。
今からそれを、魔力でワインに
変えてみてください」
女子生徒たち「「分かりました、ロイ様！」」
ルーン【ルイ、オ話シヨ！
今ハルナガ居ナイカラツマンナーイ！】
ルイ「うん、良いよ」
完璧なユニゾンを決めた女子生徒たちは、
一斉にグラスへと両手をかざし始める。
隣席のリオも、他の男子生徒も……。
ルイくんはお人形と話しているらしく、
手をかざすどころかグラスさえも
見ていない。
(……いやいやいやいや)
水をワインになんて。
魔力を使うなんて。
そんなことを当然のように要求されても、
できるわけない。
ガイ「…………」
(視線は痛いし……)
マユ「……」
ルイ「ルーン、夜になったら外行こ」
ルーン【本当！？行ク行ク〜！
ルナニモ伝エテオクネ！】
ルイ「うん」
(助けを求めようにも、ルイくんは
人形とお話してるし……。
そもそも助けてくれるかどうかも
分からないけど…)
彼は片肘をついて、「はやくやれ」と
言わんばかりの傲慢な表情で私を睨む。
ガイ「………」
(……とっ、とりあえず挑戦してみよう！)
見よう見まねで、グラスの上に
両手をかざしてみる。
マユ「………」
ガイ「………」
マユ「………わ、ワインになぁれ〜！
アブラカタブラ〜！」
ガイ「………」
マユ「あはは……今のは、私の世界での
魔法の呪文っぽいものなんですよ？」
ガイ「………」
(こ、怖っ……)
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