二十話 ページ23
リオ「ここが
初級魔法クラス」
少しだけ怖々と足を踏み入れた教室。
壁にもじゃもじゃの何かが吊るされ、
奥には大きな釜が見えた。
棚には分厚い本が積まれている。
(この場所で、魔法を習うんだ……)
ルナ【雰囲気アルネ！】
ルイ「先生のお話が始まったら、静かに
してないと駄目だからね」
ルーン【ウン！分カッタ！】
とりあえず情報を集めようと思っての
行動だけれど、なんだかまだ
実感が湧かない。
対するルイくんのお人形達は、どこか
楽しそうにしながら部屋を見回していた。
ルイくん本人は無表情のままだけど…。
でも心なしか、人形二人を見る
ルイくんの瞳はとても優しかった。
リオ「席はどこに座ってもいいけど、
オレはだいたい後ろの方。
こっそり飴ちゃんとか食べても、
バレないからな」
マユ「あはは。なるほど」
リオの隣に座りたかったので、
服の裾を掴みながらトコトコとついてくる
ルイくんに歩幅を合わせつつ、私も
最後方の列に腰を下ろす。
ルイくんは私の隣ではなく、リオの反対側に
ちょこんと座る。
階段教室だから教壇を見下ろすような
視線になった。
リオ「初講義、やっぱ緊張するか？」
マユ「はい……、かなり」
緊張というか、困惑が強い。
リオ「大丈夫だぞ。この席なら、失敗しても
誰にも見られない。
なんかあったらすぐに助けられるから、
遠慮せず言ってくれよな」
マユ「リオ……ありがとうございます。
すごく、心強いです」
リオ「おう。どういたしまして」
リオはもしかしたら飴は関係なく、
私のことを気遣って後ろの席に座って
くれたのかもしれない。
リオ「授業の前に、マユも一個、
飴ちゃん食べとくか？」
(！！)
差し出された目玉っぽい物体に
驚愕する。
“ 飴ちゃん ” というには、それは
あまりにも奇抜でグロテスクで……
マユ「う、ううん……遠慮します。
ありがとうございます」
リオ「そうか？この目玉キャンディー、
流行ってるんだけどな」
(ナゾだ……)
女子生徒「あーもう！早く授業
始まらないかなぁ」
(ん……？)
聞こえた興奮気味の声は、ぎゅうぎゅうに
埋まった前方の席からだった。
女子生徒たちが目をキラキラと輝かせて
談笑中だ。
(男子は普通にバラけて座ってるのに……)
マユ「初級魔法の講義って、女の子の方が
やる気があるんですか？」
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