【及川徹】0キロメートルの愛 2nd【番外編】

太陽のふるさと１１ ページ21

真夜｢おかえりなさい、A先輩｣

及川｢ただいま真夜ちゃん！俺もいるよ！｣

真夜｢...え？ああ、はい。見て分かりますけど｣

及川｢冷たい！！何年経っても冷たいよこの子！！｣

金田一｢お、及川さん長旅お疲れ様です！｣

及川｢金田一...！ただいま...！｣

花巻｢思いっきり金田一に気遣われてるじゃん｣


花巻と一緒になってケラケラと笑った後、私はくるりと真夜ちゃんへと向き直る。


A｢体調はどう？｣

真夜｢元気ですよ。母子共に順調です｣


真夜ちゃんは微笑みながら、そっと大きく膨らんだお腹を摩った。


A｢触ってもいい？｣

真夜｢もちろんです｣


現在真夜ちゃんは妊娠6ヶ月。お腹の膨らみも周りからも一目見て気付かれるくらいに目立っている。

真夜ちゃんもお母さんか...と感慨深い気持ちに浸りながら、優しくお腹越しにまだ見ぬベビーを撫でた。


A｢胎動は？｣

真夜｢まだですねー。そろそろ分かる頃だと思うんですけど...｣

A｢そっか。大変なこともあるけど楽しみもいっぱいだね。......ところで、｣


この赤ちゃんのパパの姿が先程から見当たらないんだけども...いずこに？まさか、出迎えなんてだるいし家でお留守番？いや、彼なら有り得るけど。


A｢松川は仕事なのは聞いてたけど、国見ちゃんは？私のサディスティックエンジェルはどこ？｣

真夜｢あー...休みの予定だったんですけど仕事になっちゃったみたいで...｣

A｢.........｣

花巻｢ショックで言葉失ってんじゃん｣

真夜｢あ、明日は会えますから！ねっ？｣


俯く私の肩を叩きながら、子供に言い聞かせるように宥める真夜ちゃんは、ふと私の後ろにいる人物を見て、ぴたりと動きを止めた。


真夜｢こんにちは、レイくん｣


真夜ちゃんに声を掛けられると、岩泉と手を繋いでいたレイの背中がぴんと伸びた。


真夜｢もしもしではお顔見てお話もしてたけど、ちゃんと会うのは赤ちゃん以来だね。大きくなったね｣

花巻｢もしもし...｣

真夜｢笑ったらぶっ飛ばしますからね｣


レイはガチガチに固まっていた。

...ビデオ通話では笑って話していたし、顔を覚えてないとかでは無いと思うんだけど。


A｢レイ、真夜ちゃんだよー｣


レイは岩泉の足に縋り付くようにしがみつく。ちらりと顔を覗かせると、蚊が泣くような声で口を開いた。


レイ｢こ...こんにちは...、及川レイです...｣


えっ！？声ちっさ！！！

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