【及川徹落ち】18000キロメートルの恋 2nd【黒尾鉄朗】

おかえりとただいま ページ8

岩泉と駅のホームを歩く。
そして改札口が見えたその時、


花巻｢あ、来た。おーい！｣

松川｢久しぶりー！｣


高校時代の友達の姿を見つけて、私は勢いよく走り出していた。

昨日、何時頃に着くのかとか二人に聞かれたけど、まさか出迎えてくれるとは思わなかった。

嬉しさのあまり切符を入れるのを忘れて、


ピンポーン！


A｢ぐえっ！｣


改札で止められ、バーに勢いよくお腹が食い込んだ。


花巻｢ぶふっ…、ぶはははは！！｣

松川｢ふはっ…お前…っ、相変わらずバカだな…っ、くくっ、｣

A｢…笑いすぎかよ｣


今度はちゃんと切符を通して、腹を抱えて笑う花巻と松川に歩み寄る。
その後を追う岩泉も、吹き出して笑っているだけで、誰も私のお腹を心配してはくれなかった。


花巻｢そんなに俺らに会えて嬉しかった？｣

A｢…べっ、べつにそんなんじゃねぇし…！｣

松川｢ツンデレかよ｣

岩泉｢こいつ一週間前からお前らに会えるってウキウキしてたぞ｣

A｢チクんなよバカ泉！！｣

花巻｢この子ったら照れちゃって可愛いんだからァー。ねェ、松川さん？｣

松川｢そうねェ、照れるとすーぐ口悪くなるんだからァ｣

A｢オネェ口調やめろ｣


懐かしいこのやり取りに、嬉しさからか笑いが込み上げてきて、私は笑った。

そんな私に花巻と松川は顔を見合わせる。
それから二人は同時に言った。


花巻・松川｢｢おかえり｣｣


胸の奥が温かくて、こそばゆくなる気持ちがした。

この瞬間、宮城に帰ってきたんだってやっと実感が湧いた。


A｢ただいま！！｣

岩泉｢……おー｣

花巻｢おー、じゃねーよ。ただいまくらい言いなさい｣

松川｢岩泉照れてんのー？｣

岩泉｢ばっ…！べっ、べつに照れてねぇよ！！｣

A｢見ろ。これが本当のツンデレだ｣


真っ赤な顔をして否定する岩泉を指さすと、頭を叩かれた。痛い。…けど、私は笑った。楽しくて、嬉しくて。


花巻｢あ、お前ら一旦実家帰るだろ？｣

A｢うん｣

花巻｢その後遊びに行こーぜ｣

岩泉｢どこにだよ？｣

松川｢学校｣

A｢行く！！｣

花巻｢ＧＷだけど部活やってるし、あと真夜も生徒会の仕事かなんかで今日学校いるって｣

A｢何だと…！？行こう！すぐ行こう！！｣


興奮を抑えきれず、私は走り出した。
その後を歩いて追う三人を振り向いて手を振る。


A｢早く！チンタラすんな！｣


ガキかよ、と三人は私を見て笑っていた。

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