【及川徹落ち】18000キロメートルの恋 2nd【黒尾鉄朗】

完全に浮気確定です ページ5

黒尾｢ふーん、それはアレだな。浮気だな｣


私の話を聞いてくれた黒尾は、サラッとそう言ってのけた。


A｢…え？でも彼氏は、ただの友達だって…、｣

黒尾｢そんなの口ではどうとでも言えますぅー。浮気だな、完全に浮気確定です。諦めろ｣

A｢………黒尾のバカ。アホ。腹黒｣

黒尾｢何でだよ。話聞いてやったのに｣

A｢研磨くんアップルパイ食べよー。店長がダージリンの茶葉もくれたんだよねー｣

研磨｢うん。…こっち、ティーポットある｣


アップルパイと聞いてどことなく嬉しそうな様子の研磨くんとキッチンへ向かう。


A｢あ、私入れるよ。慣れてるし｣


研磨くんに言いながら、店長にもらったダージリンの袋を開ける。
それをティーポットの茶こしに入れながら、さっき黒尾に言われたことを頭の中で反芻させた。

…本当に、

本当に浮気だったらどうしよう。

好きな人のことを考えると苦しいって、これはマジでしんどい。

自分を嫌悪したり、徹のことを悪く思ってしまう。

嫉妬。独占欲。対抗心。
金髪美女に負けたくない。
徹のことを疑いたくない。

…遠距離って、こんなにしんどいだなんて思いもしなかった。


研磨｢A…茶葉入れすぎ｣

A｢はっ！！｣


研磨くんの声に我に返る。
ティーポットを見ると茶葉がこんもりと盛られていた。私の手によって。


研磨｢だいじょーぶ…？｣


私の顔を見て、ことんと首を傾げる研磨くんの可愛さに、思わず額を手で覆った。


A｢今大丈夫じゃなくなった……研磨くんのあまりの可愛さに動悸が……はぁ……尊い……｣

研磨｢…心配するんじゃなかった｣

A｢冷たい眼差しも良きです…ありがとうございますご馳走様です…｣

研磨｢手合わせるのやめてくれる…？｣


崇めるように手を合わせる私に、研磨くんはめちゃくちゃ嫌そうな顔を浮かべた。
そして、私に任せてられないと思ったのか、ティーポットを奪って、こんもり盛られた茶葉を袋に戻す。


研磨｢そんなに悩んで振り回されて疲れないの？やめたくならない？｣


手を止めずに研磨くんがふと、訊ねてきた。

悩んで、振り回されて…か、確かに。
徹にというより、この物理的な距離に振り回されている。

正直疲れる。
やめたいと思ってしまうことがある。

…けど、


A｢彼氏のこと好きだから。だから…仕方ないんだ。我慢するしか｣


自嘲気味に笑う。
研磨くんは一度私に視線を向けて、ふーんと小さく呟いた。

処方せん出しておきますね→←いつも慎ましいだろうが

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