ずっと俺の特別だったんだ ページ20
初めて話したあの日と同じフェンスの上でしゃがみ込むAちゃんは、俺を真っ直ぐ見つめてぽろぽろと涙を流していた。
その涙を、俺がバカなせいで抱えさせてしまった不安を、今すぐ拭ってあげたい。
Aちゃんの口が躊躇うように開かれる。
唇が、声が震えていた。
A｢…おいかわ、｣
及川｢ん？｣
A｢私…もう遅いって分かってるけど…でも、｣
及川｢………ん？遅いって何が？｣
A｢え…？｣
及川｢え？？｣
A｢だって…及川あの有田みかんと寄り戻すんでしょ？｣
及川｢ん…？戻さないよ…？｣
話が噛み合わなくて、お互い顔を見合わせて首を傾げた。
A｢及川心変わりしたんじゃないの？…なんか、あいつと身体の相性良いみたいだし…？｣
及川｢え？身体の相性？｣
A｢うん…有田みかんが言ってたから…｣
及川｢えーっと…俺、ミカちゃんとはそーいうことをするどころかキスもしてないよ？｣
A｢は？｣
Aちゃんの涙が引っ込んだ。
少し固まった後、Aちゃんは手をわなわなと震わせた。
A｢…あの女、嘘つきやがって、許せな、｣
及川｢あっ、｣
Aちゃんは怒りながらその場をすっくと立ち上がる。
その瞬間、足をずるっと滑らせた。
ーー反射的に身体が動く。
降ってくるAちゃん。
それがあの日と光景と重なって見えた。
両手を広げる。
あの日何も知らなかった時とは違う、大好きな女の子になったAちゃんを胸に抱き留めた。
及川｢…びっくりした｣
A｢ごめん…ありがとう…｣
及川｢…うん｣
A｢…あの、及川？離してほしいんだけど…｣
及川｢やだ。また逃げられたくないもん｣
A｢も、もう逃げないから！｣
及川｢…じゃあ、さっき言いかけてた続き聞かせてくれるならいいよ｣
Aちゃんは俺の胸の中で恥ずかしそうに身じろいだ。
それから少しすると、俺の背中にそっと腕を回した。
A｢ーー及川が好き｣
緊張していると分かる掠れた声だった。
胸がきゅうっと締め付けられて、嬉しいのにめちゃくちゃ苦しい。
息が止まりそうになった。
A｢好き…大好き。及川が他の子に取られるの嫌だった…｣
及川｢…うん。俺も大好きだよ｣
A｢他の子なんか見ないで、私だけ見て…｣
及川｢…ずっとAちゃんしか見てないよ｣
ずっと、Aちゃんは俺の特別だったんだ。
それはきっと、これからも。
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杏月(プロフ) - 凍ったライムさん» 読み返し嬉しいです😭こちらこそありがとうございます！ (2022年1月19日 21時) (
レス) id: 04a827e35d (このIDを非表示/違反報告)
凍ったライム(プロフ) - 杏月さん» メッセージありがとうございました……！これから、また１から読み返していきます(^^*)これからも頑張って下さい！ (2022年1月19日 21時) (レス) id: 946d60cede (このIDを非表示/違反報告)
杏月(プロフ) - 凍ったライムさん» バチクソ嬉しいです😭私の方がいっつも元気貰ってます！メッセージにてパスワードお送りさせて頂きます🙋♀️ (2022年1月19日 20時) (レス) id: 04a827e35d (このIDを非表示/違反報告)
凍ったライム(プロフ) - 杏月さん» パスワード、もし教えて頂けるなら読みたいです！本当に杏月さんの作品には元気を頂いたので、何回も読みたくなってしまって……(//∇//) (2022年1月19日 18時) (レス) id: 946d60cede (このIDを非表示/違反報告)
杏月(プロフ) - 凍ったライムさん» ばら撒かせてもらっているので、暇だし読もうかな…と思って頂ける際には気軽に声掛けてください☺️こちらこそ、こうして読んでコメントをして頂いて、読者様方には励まされています！これからもあたおか作者と作品達をよろしくお願いします！ (2022年1月19日 18時) (レス) id: 04a827e35d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スナック杏月 | 作成日時：2021年5月31日 0時
