このままでいいわけない ページ40
金田一 side
Aのいない部活は、いつも通りの練習だけど、空気はどんよりと重い。
あんなに死んだ目をしている女子がいた方が雰囲気が良かった。
…なんて矛盾してるような気もするけど。
練習後に部室で着替えていると、隣で国見が着替えようともせずじっと固まっていた。
金田一「国見?どうした?」
国見「………」
国見は無言でじっとロッカーを見つめていた。
国見「…このままでいいわけない」
金田一「は?」
国見はぼそりと呟くと、開けていたロッカーの扉を勢いよくバタンと閉めた。
その大きな音に全員がビクッとして国見に視線を集める。
及川「どっ、どうしたの国見ちゃん?」
国見「…及川さん。このままにしとくつもりですか?」
及川「え?」
国見「Aのことです。このままだとあいつ、逃げ続けますよ」
Aの名前に全員顔を曇らせた。
そんな中、及川さんはふっと表情を緩める。
及川「そのうち誰か言い出すとは思ってたけど、まさか国見ちゃんから言われるとはねぇ…」
及川さんは感心するように、うんうんと頷いた。
無気力の国見が他人のためにここまでするのは、それだけAのことが好きで大事な証拠だ。
…国見だけじゃない。
俺だって、チームメイトとして、友達としてAが大事だ。
金田一「及川さん。俺もこのままにしとくの嫌です。…あいつが望んでないなら無理に連れ戻せないですけど、でも…俺は戻ってきてほしいです」
俺がそう言ったのを皮切りに、次々と全員が同意を示した。
及川「…勿論、分かってるよ。Aだって本当は戻りたいはずなんだ。でも、過去の記憶からはなかなか抜け出せない…」
花巻「Aちゃんの傷口抉るような真似はしたくないな」
及川「大丈夫。策はある。でもそれには、みんなの協力が必要なんだけど…って、聞くまでもないよね」
及川さんの言葉に、全員顔を見合わせてから頷いた。
全員の気持ちは一つだ。
Aがまた戻って来てくれるってんなら何だってする。
岩泉「…で、その策って何だよ?」
及川「岩ちゃん。Aは筋金入りのバレー馬鹿だよ?なら方法は一つでしょ?」
岩泉「…は?」
首を傾げる岩泉さんに、及川さんは自信満々に笑った。
及川「バレーをしよう」
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いちご(プロフ) - 杏月さん» ありがとうございます!頑張ります!! (2021年4月13日 22時) (レス) id: 0357050ae1 (このIDを非表示/違反報告)
杏月(プロフ) - いちごさん» 遅れましたがなんとか完結致しました・・・!バレーやられてるんですね!私は運動神経悪いんで尊敬します!バレーボール頑張ってください! (2021年4月11日 21時) (レス) id: 04a827e35d (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - 続きはありますでしょうか?見つけて1話から見てとっても吸い込まれるように読んで一日で読み終わってしまいました。私もバレーボールをやっていてレシーブが苦手なんですけれど読んだらなんかレシーブが練習したくなりました!大変だとは思いますが更新お願いします (2020年3月14日 0時) (レス) id: 0357050ae1 (このIDを非表示/違反報告)
杏月(プロフ) - ありささん» コメントありがとうございます!最高だなんて嬉しいです...作者の励みになります!これからも読んで頂けると嬉しいです! (2019年8月1日 12時) (レス) id: 04a827e35d (このIDを非表示/違反報告)
ありさ(プロフ) - ああぁぁぁー!!!もぅ最っ高です!!!これからも更新頑張ってください!!! (2019年7月31日 22時) (レス) id: 2c7a607a36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スナック杏月 | 作成日時:2019年7月9日 21時