届かない声 ページ20
溝口「国見どこ行った？」
モブ「トイレ行きました。…大分前に」
溝口「…マネージャー」
このやりとりはもう何度目になるか分からない。
私を呼ぶ一言だけで、その後は言わずもがな理解した。
A「…また私ですか」
ため息を一つ吐き出すと、今日もサボり魔の捜索をしに、体育館を後にした。
こうやって何度も捜索してると、どこにいるのか大抵予想がつく。
…人目に付かない、涼しいところ。
目星を付けて探すと、あっさりと見つかった。
A「見つけた」
国見「…げっ」
A「ほら立って。戻るよ」
国見「…だんだん見つけんの上手くなってない？」
A「これだけ探してたら行きそうな場所分かってくるよ。…あ、ついでに部室寄ってこ。ビブス持ってかないと。あとタオルも。国見も半分持ってね」
国見「パシリか」
A「サボってた罰」
部室棟の前に着き、取ってくる、と国見を待たせて、部室に向かうため階段を上る。
中に入ると、畳んであるビブスとタオルをカゴに一纏めにする。
すぐに部室を出ようとした瞬間、
ギィ、バタン。
ドアが開いて閉まる音が部屋に響いた。
A「国見、」
呼びながらドアの方に顔を向ける。
それから戦慄した。
ーー違う。国見…じゃない。
そこには、いつか廊下で会った男子が立っていた。
私を見ると、あの時のようにニヤリと笑う。
逃げなきゃ。
頭の中で警告音が鳴り響く。
ここは三階で窓から出るなんて危険だ。
出入口は塞がれている。
…でも、外には国見がいる。
大声を出そうと口を開けた。
A「くに、っ、」
だが、助けを求める声は、男子によって塞がれた。
口元に覆われた男子の手を引き剥がそうするが、力が適わない。
男子はそのまま私を口を塞いだまま、抱えるようにして外へと引きずっていく。
手を振り回したり、蹴飛ばしたり、全力で抵抗するが、相手が怯むことはない。
あれよあれよという間に階段を一番下まで降りて行くと、国見の姿が見えた。
今ここで気づいてもらえれば…！
必死に抵抗をしたその時、口元を覆っていた男子の手が一瞬緩んだ。
A「…っ、国見…っ！」
モブ「あれ？国見何してんの？部活じゃねーの？」
その時、タイミングが悪くクラスメイトが国見に話しかけてきた。
…こっちを見て。私に気がついて。
助けて。国見。…誰か。
願いは虚しく、国見達とは反対方向へと私はずるずると引きずられて行った。
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いちご(プロフ) - 杏月さん» ありがとうございます！頑張ります！！ (2021年4月13日 22時) (
レス) id: 0357050ae1 (このIDを非表示/違反報告)
杏月(プロフ) - いちごさん» 遅れましたがなんとか完結致しました・・・！バレーやられてるんですね！私は運動神経悪いんで尊敬します！バレーボール頑張ってください！ (2021年4月11日 21時) (レス) id: 04a827e35d (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - 続きはありますでしょうか？見つけて1話から見てとっても吸い込まれるように読んで一日で読み終わってしまいました。私もバレーボールをやっていてレシーブが苦手なんですけれど読んだらなんかレシーブが練習したくなりました！大変だとは思いますが更新お願いします (2020年3月14日 0時) (レス) id: 0357050ae1 (このIDを非表示/違反報告)
杏月(プロフ) - ありささん» コメントありがとうございます！最高だなんて嬉しいです...作者の励みになります！これからも読んで頂けると嬉しいです！ (2019年8月1日 12時) (レス) id: 04a827e35d (このIDを非表示/違反報告)
ありさ(プロフ) - ああぁぁぁー!!!もぅ最っ高です!!!これからも更新頑張ってください!!! (2019年7月31日 22時) (レス) id: 2c7a607a36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スナック杏月 | 作成日時：2019年7月9日 21時
