【青葉城西】及川さんとこの妹ちゃんは笑わない。

嫌な予感 ページ43

放課後、いつものようにマネージャー業に勤しむ。

ドリンクを作っていると、ふと誰かがこっちを見られているような気がして、顔をあげた。

その瞬間、カシャ、とカメラのシャッター音のようなものが聞こえた気がした。

辺りを見渡すが、誰もいない。

…実は、ここ１週間同じことが続いていた。
特にひとりになったときによく起こる。

何だろう。なんだか気味悪い。

素早くドリンクを作り終えると、みんなのいる体育館へと足早に向かった。


松川「おーAちゃん。今日も相変わらず…いや、いつもにも増して目が死んでんなー」

花巻「立派などんより曇り空だなー。なんか雨降るんじゃね？」

A「………」


たった今渡そうとしていた二人のドリンクのボトルを握り潰すようにぎゅっと力を込める。


A「これぶっかけて、ドリンクの雨降らせてあげましょうか？」


すんませんっした、と頭を下げる二人にため息を吐き、ドリンクをちゃんと渡した。


A「いい加減にしないとドリンクにデスソースぶっこみますからね」

岩泉「…過激だな。俺のにはすんなよ」

A「岩ちゃんはこの部での一番の私の味方なんだからするわけないよ」

及川「え…お兄ちゃんじゃないの…？」

A「一番の味方だったらすぐ女の子のところにフラフラいくのやめてよね」

岩泉「まったくだな」

及川「ガーン…」


ショックを受けるお兄ちゃんは、ふと私の顔を見る。
それから、私の頭をそっと撫でた。


及川「何かあった？」

A「え？ううん」

及川「本当に？」

A「何もないよ」


…今はまだ。

なんて心の中で付け加える。
嫌な予感がしてならなかったから。

お兄ちゃんは、何かあったら小さなことでもすぐ言ってね。と念押しして、練習再開の合図を出した。

みんながコートに向かって行く中、国見だけが私のところにやってきた。
ん。と飲み終わったドリンクのボトルを渡してくる。


A「回収するから適当にその辺に置いといていいのに…」

国見「冷や汗かいてる」


指摘され、胸がギクリとする。

国見は見透かすような目を私にちらりと向けてから、遅れてみんなの後を追った。

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