【青葉城西】及川さんとこの妹ちゃんは笑わない。

なんやかんや好き ページ42

花巻 side


A「買えた買えたー。花巻先輩、ありがとうございました」

花巻「いーえ。つーかすげー量買ったな。Aちゃん大食いだっけ？」


Aちゃんの手には女子にしては多いパンの数が抱えられていた。
Aちゃんはふるふると首を横に振る。


A「このコーン乗ったパンを金田一に、塩キャラメルパンケーキは国見にあげようと思って」

花巻「そーなんだ優しいねー」

A「私、なんやかんやあの二人好きですから」


さらっと言ってのけたその言葉に、自分の胸にもやっと黒い物が渦を巻く。

確か金田一と国見とは毎日一緒に昼飯食ってるんだよな。
国見とは同じクラスだし、それで部活も一緒とか、仲良いはずだよなそりゃ。


A「それと、これは花巻先輩に」


Aちゃんはパンの山から一つ取り出して俺に渡した。
受け取ると、シュークリームだった。


A「お礼です。好きでしたよね？」

花巻「っ、気遣わなくていーのに」


好物覚えてくれてるとか…、

ものすげー嬉しくて、ニヤつきそうになる顔を見られないように顔を背けながら素っ気なく答える。


A「食べないなら国見とかにあげますけど…」

花巻「いい！…食うし」


ぶっきらぼうに答えれば、Aちゃんは頭の上に？を浮かべながら、そうですか、とだけ言った。


A「それじゃ、教室戻りますね」

花巻「あっ。あのさ、」

A「何ですか？」

花巻「俺のことも、なんやかんや好き…だったりする？」


うわ。…ちょっと待て、俺。
何を聞いてんだ。
頭で考えるより先に変なこと言っちまった。

Aちゃんはうーん、と頭を悩ませてから答えた。


A「まぁ、花巻先輩のこともなんやかんや好きですよ」

花巻「っ、」

A「バレーしてるときは文句無しにかっこいいですし」


胸がきゅうっと締め付けられたように苦しくなった。
こんなこと言われるなんて予想外だ。


花巻「ちゃんと俺のかっこよさに気づいてたみたいで安心した」

A「…そういうのがなければもっといいんですけどね」


呆れたように、Aちゃんがため息をついた。

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