嫌われたくないから ページ25
私とお兄ちゃんの間に沈黙が流れる。
しばらくして、それまで黙っていた岩ちゃんが口を開いた。
岩泉「会うのが怖いって…それ、そいつに嫌われたくないから怖いんじゃねーのか？」
その言葉は私の核心を突いた。
はっとして顔をあげると、真剣な眼差しをした岩ちゃんと目が合った。
岩泉「よく分かんねーけど、会わなくして気持ちがすっきりすることなんてねぇだろ。中学のときお前がそいつのこと好きだったってのは本物だったんだろ？ごちゃごちゃ考えてねぇで、その時の気持ちに素直になって正直に会いに行けばいいじゃねぇか」
岩ちゃんの言葉は真っ直ぐに私の胸に、すとんと落ちてきた。
ぐるぐると考えていたばかりだったのに、胸のつっかえが取れたようだ。
確かに私は、ちゃんと西谷先輩が好きだった。
岩泉「それで、辛くなって逃げ出したくなったら迷わず俺らのところに逃げてこればいいだろ」
A「…岩ちゃん、」
胸がきゅっと苦しくなった。
その言葉が嬉しくて。
逃げ場があるって、なんて安心することんだろう。
堪らなくなって、岩ちゃんの胸に飛び込んだ。
岩泉「おっ…おい、」
A「ありがとう」
驚いて慌てる岩ちゃんにぎゅっと抱きしめた後、小さくお礼を言った。
すぐに身体を離して、私は歩き出した。
A「ちょっと用事できた。すぐ戻るから…」
お兄ちゃんと岩ちゃんに背中を押されて、一歩ずつ踏み出す。
だんだんと早足になり、ついには走り出した。
もう行ってしまっただろうか。
…いや、まだ間に合う。きっと。
A「…あ、」
駐車場に烏野の人達が乗ってきたバスか停まっていた。
ちょうど今から乗り込んで行くところ。
その中に、清水先輩の姿を見つけた。
A「待ってください…！清水先輩…！！」
息も絶え絶えに叫んだ。
烏野の人達、全員が驚いたように私を見る。
注目を浴びているのにも構わず、私は清水先輩に向けてさっきの返事をした。
A「私っ、…西谷先輩に、会いたいです…っ、会わせてください…」
西谷先輩。今、何していますか。
ずっと謝りたかったことがあるんです。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 464人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
杏月(プロフ) - わむさん» コメントありがとうございます。ご指摘ありがとうございます。確かにその通りですね。作者がアホでした・・・。他にもリアルとかけ離れている部分があるかと思います。不快にさせてしまったようであれば申し訳ございません・・・。 (2021年4月29日 23時) (
レス) id: 04a827e35d (このIDを非表示/違反報告)
わむ - なんで兄貴と違う中学なの？同じ住所なら学校も同じじゃん。高校や私立じゃないんだし。 (2021年4月29日 14時) (レス) id: 6836c6202c (このIDを非表示/違反報告)
杏月(プロフ) - あ〜くさん» コメントありがとうございます。最高だなんてめちゃくちゃ嬉しいです！作者の励みになります！ノヤっさん大好きで登場させてしまいましたwwこれからも欲望の赴くままに投稿していきます！お話がいっぱいになりましたので、続編に飛んでください！ (2019年7月9日 22時) (レス) id: 04a827e35d (このIDを非表示/違反報告)
あ〜く(プロフ) - すっごく面白いです！何か…語彙力が無くなって上手く言えないですけど、最高です！！逆ハーも好きなんですけど、何より私の推しであるノヤっさんとの絡みもあって凄いドキドキしながら見ています！更新頑張って下さい、応援しています！！o(>∀<*)o (2019年7月9日 20時) (レス) id: 14e5aeaf40 (このIDを非表示/違反報告)
杏月(プロフ) - 黒豆粉さん» コメントありがとうございます。作者の欲望のままに書いている作品を気に入って頂けるなんて嬉しい限りです...！これからも楽しんでもらえるよう頑張って投稿していきます！ (2019年7月7日 11時) (レス) id: 04a827e35d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：スナック杏月 | 作成日時：2019年6月7日 17時
