【国見英】賽は遥か遠くにぶん投げる 2nd【青城】

ケツからマカロン ページ25

次は覚えとくね、と矢巾さんに笑いかけた朝陽先輩は、次の瞬間、その表情を引き締めた。


朝陽｢バハマくんは、会長にこの状況伝えてきてくれる？入場門で誘導してるから。あと、放送は私がやるから心配しなくていいってってことも伝えておいて｣


花巻先輩とかとふざけて大口開けて笑ってる朝陽先輩の影は無く、頼もしくてかっこよくて、憧れて追いかけてきた懐かしい背中だった。…名前は間違えていたけど。


朝陽｢放送部ちゃんは機材のいじり方、簡単に教えてくれる？｣

放送部｢あ、はい！｣


放送部の先輩について行って、一通りざっと説明を受けると、朝陽先輩はすぐに頷いた。


朝陽｢おっけー大体分かった｣

放送部｢え？本当ですか？｣

朝陽｢うん、覚えた｣


メモを取る様子もなく、たったの一瞬で頭に入れた朝陽先輩に、放送部の先輩は戸惑っていた。

青城一問題児のこの人が、トップクラスで頭がいいことを知らない人は多いと思う。
朝陽先輩は頭の良さをひけらかさないし、試験では本気を出さないから。


朝陽｢だから安心して任せて｣


放送部の先輩の背中をポンと叩くと、さぁ頑張るかー！と朝陽先輩は大きく伸びをする。


A｢朝陽先輩…本当にいいんですか？これじゃ、朝陽先輩が体育祭楽しめないです…｣


朝陽先輩にとったら今日が最後の体育祭なのに。


朝陽｢なーに言ってんの。楽しいよ。私は、毎日ずっと楽しい｣


朝陽先輩は、三年の応援席にいる及川先輩達の方を見て、頬を緩ませた。


朝陽｢大好きなみんながいる場所なら、どこにいたって何をしてたって楽しいの｣


そう言った朝陽先輩の瞳はただただ真っ直ぐで、綺麗で、ああやっぱり私はこの人のことが好きだな、と胸が熱くなった。

ならば少しでもたくさん、朝陽先輩が楽しんで笑っていられるといい。そして、この先待ち構えている道が少しでも優しいものであるといいと心から思った。


花巻｢あれ？お前いつから放送部になったの？｣


ふと背後から掛かった声に振り向けば、そこには不思議そうな表情を浮かべる花巻先輩の姿があった。


朝陽｢便所長かったね。スッキリしたか？｣

花巻｢ちげーよ。混んでただけ｣

朝陽｢う〇こくらいで照れんなよ｣

花巻｢いや、そもそも俺う〇こしねーよ。ケツからマカロン出る｣

朝陽｢えっ｣

A｢…花巻先輩…それはさすがに引きます…｣

花巻｢何でだよ。う〇こ発言する朝陽に引くだろフツー｣

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