【花巻貴大】この恋と心中します【青城】

タイムキーパー ページ22

A｢ホイッスル？｣


部活の時間、及川から手渡されたホイッスルに、Aはことんと首を傾げた。


及川｢うん。今日からAちゃんには、タイムキーパー任せようと思って｣

A｢何ですか…？そのめちゃくちゃ強そうな名前は…｣

花巻｢強そう？｣

A｢時間を留める者…タイムキーパー・A…悪くないですね…ふふっ｣

松川｢喜ぶポイント小学生男子かよwww｣

岩泉｢…おい。タイムキーパーこいつに任せて大丈夫か？｣

及川｢決められた時間通りに笛鳴らすだけだし、大丈夫でしょ｣


及川は今日の練習メニューが書かれた紙をAに渡して、ここで笛を鳴らしてね、と丁寧にAに説明をする。


A｢ちょっと一回鳴らしてみてもいいですか？｣

及川｢うん、いーよ｣

A｢やったー｣

溝口｢あ、それさっき俺使ってたわ｣


Aがホイッスルを咥える直前、通りすがりの溝口くんがサラッと何でもない事のように告げる。
Aは溝口くんを、信じられないといった様子で見つめた後、首に掛けていたホイッスルを外し、ぽつりと呟いた。


A｢…全力で洗剤付けて洗ってきます｣

溝口｢何でだよ｣

A｢だって…何が悲しくておっさんコーチの唾液を体内に摂取しなくちゃいけないんですかぁっ！！｣


Aは汚れ物でも持つかのようにホイッスルの紐部分を指先で摘みながら、大きくかぶりを振った。


溝口｢お前言い方な。あとそんなに俺はおっさんじゃない｣

A｢高校生からしたらバチバチおっさんです！！｣

溝口｢いや、でも俺まだ31、｣

A｢悪あがきは見苦しいのでやめましょう！！｣

溝口｢…何なの？俺嫌われてる？｣

A｢…この間、寝る前に花巻先輩見て癒されようと思ってたのに…。撮ってたビデオカメラのデータ確認してたらコーチの顔ばっか映ってて…ううっ、何で寝る前におっさんの顔拝まないといけないですか！！うなされるじゃないですか！！｣

溝口｢何の話かさっぱり分かんねぇけど、涙目で本気で嫌がるのやめろ！！｣

A｢私の方が傷ついてます！！そんな…そんな、自分だけ傷付いてるみたいな顔やめてください！！｣


溝口くんはまともに話ができないAに見切りを付けたのか、一瞬黙り込むと、くるりと俺達に顔を向けた。


溝口｢…なぁ、こいつマネージャーにしたの誰だ？｣

岩泉｢及川です｣

及川｢まっつんです｣

松川｢花巻です｣

花巻｢何でだよ！！たらい回しにしてくんじゃねぇよ！！｣

神聖なタオル→←変態行為を正当化すんな

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