心を殺して ページ26
ゆっくりと視線を戻すと、嘲るように岡崎くんの目から口へかけて冷たい笑いが動いた。
A「…何で?何で岡崎くんはそうやって上から目線なの?私達は同じなんでしょう?変だよ…どんどんおかしくなってる…」
こんなはずじゃなかった。
私は岡崎くんとお互いに支え合えるような対等な関係を築きたかった。感情をぶつけられるだけの人形になりたかったわけじゃない。
岡崎「俺は元からこうだった。今更どうしたの?俺のこと受け入れといて今更捨てんの?」
ーーねえ?Aは裏切るの?
岡崎くんはひりひりと痛む私の頬を優しくするすると撫でる。ひっぱたいたその手で。
彼は変わらない。空っぽの瞳には私は映っていない。それに気が付くと、だんだんと心が萎んでいくような感覚がした。
こうやって諦めて、心を殺して、殺して、殺して。そうして行き着く先はどこなんだろう。我慢をすればするほどに心が醜く歪んでいくのが分かる。
…そんな自分が、吐き気がするほど嫌いだ。
彼から視線を逸らしたその時、カーテンが大きく風で靡いた。
窓の外に、懐かしい自販機とベンチが見えて、ああと嘆息する。すぐそこにあるのに。この窓を飛び越えて走れば。
ーーでも、私はもう、そこには戻れない。
▲▼
放課後、私は一枚の用紙を手に職員室を訪れた。きょろきょろと見渡して部活の顧問の姿を探していると、知った顔ぶれの二人を見つけてしまい、咄嗟に顔を逸らそうとする前に目が合ってしまう。
一人は驚いたように目を見張り、すぐにこちらへ歩み寄ってくると、気遣うようにそっと言葉を掛けてきた。
岩泉「…顔、どうした?」
A「……」
私は岩泉くんに何も答えられず黙り込む。岡崎くんに打たれて、これまた彼の手によって貼られた湿布の上から、腫れた頬を隠すように手をやりながら俯いた。
及川「…どーせ彼氏でしょ。岩ちゃん、俺先に部室行くからね」
岩泉くんの手から部室の物らしいカギを奪った及川くんは、私を呆れたような目で一瞥してから、職員室を颯爽と出て行った。
岩泉くんは静かに私を見つめていたかと思うと、私の手の中にあった用紙を無遠慮にかっさらう。
岩泉「…部活、辞めんのか?」
これから顧問に提出しようとした退部届を見るなり、岩泉くんは顔を顰めた。
岩泉「料理好きなんだろ?」
黙りこくる私に岩泉くんはため息を落とすと、次の瞬間、核心をついた。
岩泉「もしかしてお前、岡崎に辞めろって言われて辞めんのか?」
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←灼けつく頬
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スナック杏月(プロフ) - なぅさん» すみません😭お久しぶりでございます😭冬は眠くて書く時間に費やしてた時間が睡眠時間になってた😭眠れる森の美女だった😭王子様はいなかったから自力で起きた😭 (2023年2月22日 22時) (レス) id: 011dd4e45f (このIDを非表示/違反報告)
なぅ(プロフ) - 生きてた...?杏月ちゃんあなた生きていたの...? (2023年2月22日 22時) (レス) id: 061659d46e (このIDを非表示/違反報告)
スナック杏月(プロフ) - フェアリーさん» いつもコメントありがとうございます🥰及川さんはファンが多くて、岩ちゃんはガチ恋が多いと予想してますねぇ🤔あんな男前惚れないはずがない!!(岩ちゃん推し)次回も楽しみにして頂けると幸いです! (2023年2月6日 19時) (レス) @page22 id: 011dd4e45f (このIDを非表示/違反報告)
フェアリー(プロフ) - 岩泉「ーー綺麗だよ、お前は」は反則だろ・・・それで何人の女を落としてきたんだ岩泉!!(( (2023年2月6日 13時) (レス) @page22 id: ebc545326a (このIDを非表示/違反報告)
スナック杏月(プロフ) - Komachiさん» こまっちゃんお久しぶり!!嬉しいよう😭旅に出て帰ってきたわ🥲前よりもペース緩めて執筆していこう思うよ…ありがとう🥹🫶 (2023年1月18日 1時) (レス) id: 011dd4e45f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スナック杏月 | 作成日時:2021年12月2日 14時