綺麗だよ ページ22
私のことを分かってよ。
私のことなんて分からないくせに。
相対する気持ちがごちゃ混ぜになって、取り込む空気を薄くする。
A「求められるって幸せだよ。自分はちゃんと必要とされてるんだって、ここにいていいんだって…それを不幸と言える?」
私は機械的に微笑みながら問いかけた。岩泉くんは短く息を吸い込むと、少し苛立ったように口を開く。
岩泉「お前の意志はどこにあんだよ?そうやっていちいち小難しくすんのやめて腹割って話せ、A」
A「…話せって、これ以上何を?」
岩泉「“変わりたい”って俺に言ったよな?…なのにあの日、お前は急にころっと態度を変えたろ。岡崎に何か言われたんじゃねえのか?」
真っ直ぐと鋭く射抜いてくる岩泉くんに、私の胸は嫌にドキついた。
ーー“だってさぁ…それ、ただ岩泉に依存しようとしてるだけじゃん“
岩泉くんの言う“あの日”。私が岩泉くんに揚げ出し豆腐を作った日。岡崎くんに言われた言葉が私の頭の中をぐるぐると巡った。
ーー“結局一人じゃ立っていられないから、今度は心の隙間に岩泉をねじ込んでるだけだ”
“変われない。裏切られることが怖いあまりに、岩泉に依存し続ける“
私の意志はちゃんとある。
私は、岩泉くんに依存したくない。岩泉くんにだけには絶対に。この人を汚したくなんかないの。
A「変わりたいなんて言った?覚えてないわ」
動揺を悟られまいと、私ははみ出るような微笑を滲ませ、あっけらかんとした口調で言った。
岩泉「その顔…そんな風に自分の気持ちを無かったことにすんなよ」
…無かったことになんてできないよ。
岩泉くんがくれた言葉も、眼差しも、熱も、私の中にずっと残っているんだもの。
A「岩泉くんは暖かいよね。だから残酷」
そうやって掬い取ろうとして、でも、元カレみたいにいつかいなくなってしまうかもしれない。
岩泉「…どういう意味だ?分かるように話せ」
A「岩泉くんは素敵な恋ができる。たくさんの男引っ掛けてきた私が保証する。だからこんなところで足踏みしてないで」
私と岡崎くんは、片足を常に夢の中にすっぽりと嵌りこませていて、地に足を着けて歩いて行ける岩泉くん達とは違う。
岩泉「そうやって線引くんじゃねえよ」
A「無理だわ。私は岩泉くんと違って汚すぎる」
自嘲気味にしらけた笑いを皮膚の上に浮かべたその時、一歩、岩泉くんが私との距離を詰めた。
岩泉「ーー綺麗だよ、お前は」
135人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
スナック杏月(プロフ) - なぅさん» すみません😭お久しぶりでございます😭冬は眠くて書く時間に費やしてた時間が睡眠時間になってた😭眠れる森の美女だった😭王子様はいなかったから自力で起きた😭 (2023年2月22日 22時) (レス) id: 011dd4e45f (このIDを非表示/違反報告)
なぅ(プロフ) - 生きてた...?杏月ちゃんあなた生きていたの...? (2023年2月22日 22時) (レス) id: 061659d46e (このIDを非表示/違反報告)
スナック杏月(プロフ) - フェアリーさん» いつもコメントありがとうございます🥰及川さんはファンが多くて、岩ちゃんはガチ恋が多いと予想してますねぇ🤔あんな男前惚れないはずがない!!(岩ちゃん推し)次回も楽しみにして頂けると幸いです! (2023年2月6日 19時) (レス) @page22 id: 011dd4e45f (このIDを非表示/違反報告)
フェアリー(プロフ) - 岩泉「ーー綺麗だよ、お前は」は反則だろ・・・それで何人の女を落としてきたんだ岩泉!!(( (2023年2月6日 13時) (レス) @page22 id: ebc545326a (このIDを非表示/違反報告)
スナック杏月(プロフ) - Komachiさん» こまっちゃんお久しぶり!!嬉しいよう😭旅に出て帰ってきたわ🥲前よりもペース緩めて執筆していこう思うよ…ありがとう🥹🫶 (2023年1月18日 1時) (レス) id: 011dd4e45f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:スナック杏月 | 作成日時:2021年12月2日 14時