手首に咲くは ページ19
▲▼岩泉 side
岩泉「…とにかく、見守ってたってどうしようもねえ。Aと話してくる」
自分のクラスにいるだろうと、すぐそこにあるAのクラス教室に向かってズンズンと大股で向かう。
及川「ちょっ、ちょっと岩ちゃんストップ!!」
岩泉「…んだよ」
俺の肩を掴んで引き止めた及川は、顔に焦りの表情を浮かべて、辺りをキョロキョロと見渡してから声を潜めた。
及川「岩ちゃん…慎重に動いた方がいいよ。岡崎クン嫉妬深いようだし、岩ちゃんと話してるところ見られたら、またAちゃんが当たられる。増してや、Aちゃんと仲良かった岩ちゃんなんてもっと、」
岩泉「ふはっ」
及川「えっ?…ちょっと岩ちゃん、何笑ってんのさ?」
岩泉「いや…お前、あいつと絶交したとか言って、すげえ気にかけてんじゃん」
及川「んな…っ!そ、そんなことないですぅ!!あんなドクズ、俺とはもう無関係だもんね!!」
及川は動揺しながら大きく声を張り上げると、早足に自分のクラスの方へと歩き出して行った。
その背中をため息混じりに見送ってから、俺はAのクラスを開けられた扉から覗く。
確かあいつの席は廊下側の真ん中辺りだったな、ときょろりと見渡しているとーー、
廊下から教室に入って来ようとした誰かが俺にぶつかって来て、どんっと肩に軽い衝撃を感じた。
A「あ、ごめーー、」
反射的に謝ってきた女子が、振り向いた俺の顔を見て、その表情をぴたりと止める。
岩泉「…A」
ぶつかって来たのは、たった今探していたAだった。
Aは驚いたように少し目を見開くが、すぐに俺から視線を逸らすと自分の席へと歩いて行こうとする。
岩泉「おい、待てって。話してえことが、」
A「いた…っ!」
引き止めるために咄嗟にAの腕を掴むと、Aはその表情を歪めた。
ーー“俺に舌打ち打った後、結構な勢いでAちゃんの腕掴んで、引っ張って行ってさぁ…”
“岡崎クンに腕掴まれて階段上ってくAちゃん見かけて…“
先程聞かされた花巻と及川の話が頭の中を駆け巡り、胸がドクンと大きく音を立てた。
俺はAの腕を掴んでいた手をやんわりと解く。それから、Aの長袖のシャツをばっと捲りあげた。
A「ちょ、ちょっと…!」
岩泉「……お前、これ」
それを目にした時、胸が突かれるような感覚になった。
隠されていたAの白い手首には、点々と赤紫色の指の跡がくっきりと付いていた。
135人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
スナック杏月(プロフ) - なぅさん» すみません😭お久しぶりでございます😭冬は眠くて書く時間に費やしてた時間が睡眠時間になってた😭眠れる森の美女だった😭王子様はいなかったから自力で起きた😭 (2023年2月22日 22時) (レス) id: 011dd4e45f (このIDを非表示/違反報告)
なぅ(プロフ) - 生きてた...?杏月ちゃんあなた生きていたの...? (2023年2月22日 22時) (レス) id: 061659d46e (このIDを非表示/違反報告)
スナック杏月(プロフ) - フェアリーさん» いつもコメントありがとうございます🥰及川さんはファンが多くて、岩ちゃんはガチ恋が多いと予想してますねぇ🤔あんな男前惚れないはずがない!!(岩ちゃん推し)次回も楽しみにして頂けると幸いです! (2023年2月6日 19時) (レス) @page22 id: 011dd4e45f (このIDを非表示/違反報告)
フェアリー(プロフ) - 岩泉「ーー綺麗だよ、お前は」は反則だろ・・・それで何人の女を落としてきたんだ岩泉!!(( (2023年2月6日 13時) (レス) @page22 id: ebc545326a (このIDを非表示/違反報告)
スナック杏月(プロフ) - Komachiさん» こまっちゃんお久しぶり!!嬉しいよう😭旅に出て帰ってきたわ🥲前よりもペース緩めて執筆していこう思うよ…ありがとう🥹🫶 (2023年1月18日 1時) (レス) id: 011dd4e45f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:スナック杏月 | 作成日時:2021年12月2日 14時