19 ページ19
授業開始のチャイムが鳴る。
「あ、始まった」
「ご、ごめん、萩ちゃん！」
「ん？別に全然いいよ？」
萩ちゃんがにっこり笑う。
「でも、」
「一限目、数学なんだ」
「…うん？」
「サボれてラッキー♪」
萩ちゃんがピースする。
「意外と、不真面目なんだね、萩ちゃんて」
「あ、知らなかった？」
むふふと笑う萩ちゃんにつられて私も少し笑う。
でもまだ涙は止まらない。
萩ちゃんが困った顔をしている。
「…ごめんね」
何度拭っても零れてくる涙。
強く擦りすぎて目がジンジンする。
「小暮は、悪くないよ」
「…」
「悪くない。だから、謝らなくていいよ」
力強く言う萩ちゃんの言葉に
また涙が溢れてくる。
「…萩ちゃんは、優しいね」
「今頃知ったの？」
「ふふ。前から知ってたよ」
それから、ふたりは何も喋らなかった。
萩ちゃんは、ただ黙って、傍にいてくれた。
だんだん涙も枯れてきて、
心も落ち着いてきた。
ふぅっと息を吐く。
「ありがとね、萩ちゃん」
「俺は何もしてないよ」
萩ちゃんらしい。
絶対自分を謙遜するんだ。
私は、萩ちゃんの存在にとっても助けられているのに。
授業終了のチャイムが鳴った。
「さすがに戻らねーとな」
「だね」
教室に戻る途中、萩ちゃんが私の名前を呼んだ。
「小暮」
「ん？」
「授業サボる時は教えて」
「え？」
「俺も一緒にサボるから」
頭にポンっと手が乗る。
「無理すんなよ」
そう言って萩ちゃんは自分のクラスに戻っていった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 274人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
HARU(プロフ) - あいすさん» んふふ（笑）あいすさんをたくさん泣かした気分♪またジェシー書きますよう！のんびりお待ちくださーい（笑） (2015年5月30日 9時) (
レス) id: 5f45f38707 (このIDを非表示/違反報告)
HARU(プロフ) - みりまむさん» ありがとうございます(*ﾉωﾉ) みりまむさんはいつも褒めてくださるので、ついつい調子に乗ってしまいます（笑）今後もよろしくお願いしますね♪ (2015年5月30日 9時) (レス) id: 5f45f38707 (このIDを非表示/違反報告)
あいす(プロフ) - 泣ける作品( ；∀；)またジェシー書いてください♪HARUさんお疲れ様でした(*>ω<*) (2015年5月30日 8時) (レス) id: b73e41006e (このIDを非表示/違反報告)
みりまむ(プロフ) - HARUさん、お疲れ様でした！！『一途すぎて愛おしいバカ』最高です！！！やっぱりHARUさんが書くお話大好きです！！ (2015年5月30日 0時) (レス) id: 8e043e8cc2 (このIDを非表示/違反報告)
あいす(プロフ) - HARUさん» ぜんぜん！そう！年下(*´□`*)やーん楽しみ♪ (2015年5月27日 0時) (レス) id: b73e41006e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：HARU
| 作成日時：2015年4月8日 21時
