155.常習犯？ ページ12
「どういうこと？」
「ひとつ言えるのは、樹くんはあんたのこと大事に想ってる。それは間違いないからね」
「ならどうして……」
「お母さんが言えるのはここまでよ。あとは自分で考えなさい」
「……ずるい」
「全然！ずるくない！ちゃんと自分で考えて、自分で向き合いなさい。2人の問題なんだから」
お母さんが、ちょっとカッコつけてお母さんらしいことを言って部屋から出て行った。
大きく息を吐く。
また明日から、樹と気まずくなるのかな。
いつもそうだ。
答えの出ない会話をするときはいつも決まって樹が私から距離を置く。
京本先輩も、同じこと言ってたな。
樹は大事に思ってるよ、なんて。大事に思っているのならどうして離れるの？
離れないで欲しいのに。
樹には伝わらない。
また、答えの出ないまま時間だけが過ぎる。
次の日、泣きすぎて目も腫れてるし気持ちも上がらないから大学を休みたかったのに、お母さんに叩き起こされてしぶしぶ準備をして家を出た。
だけどやっぱり講義を受ける気分じゃなくて。
大学に着いたくせに教室には行かずに、食堂のすぐ近くにあるテラスに向かった。
窓際の席に座ってボーっと外の景色を見つめる。
「意外。サボるタイプには見えなかった」
上から声が降って来たと同時に、目の前の席に誰かが座った。
驚いて視線を声の主に向けたら、昨日の黒髪の彼がコーヒーを飲みながら私を見ていた。
「あ、昨日の……」
「よくサボるの？」
「まさか！今日が初めてだよ」
「ふーん？」
「本当だよ！……そっちこそ、何してるの？」
「俺？俺はお腹痛いから一旦抜けてきた」
「嘘だ。お腹痛い人がコーヒーなんか飲まないもん」
「あは、バレた？」
「真面目なタイプに見えるのに」
「外見がでしょ？黒髪に眼鏡っていかにも優等生っぽくて先生からの評判いいんだよね」
「……それも計算？」
「優等生なのは本当だよ？だから先生も快く休ませてくれる」
「さては常習犯ね？」
「さぁ、どうでしょう？」
お互いに顔を見合わせて吹き出す。
それから、辺りを見回して首を傾げた。
「今日は彼と一緒じゃないの？」
「あぁ、うん、まぁ、いつも一緒にいるわけじゃないから」
歯切れ悪く答えたからか、さらに首を傾げて彼が訪ねてきた。
「彼氏じゃないの？」
「違うよ、樹とはただの幼馴染」
「幼馴染……」
「そう、それだけの関係」
そう呟いて、視線を落とした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3047人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きい(プロフ) - いつか続きが読めるのをお待ちしてます！ (2月26日 4時) (
レス) @page38 id: ee589dc596 (このIDを非表示/違反報告)
yuna(プロフ) - 何度も繰り返し読んでしまうくらい大好きな作品です！いつか続きを知れる日を心待ちしています！ (5月15日 1時) (レス) id: 5cd2a49fca (このIDを非表示/違反報告)
ﾘﾝ(プロフ) - ず〜〜〜っと待ってました！嬉しすぎますありがとうございます🤍 (2022年8月24日 2時) (レス) @page38 id: 5cabe62e5a (このIDを非表示/違反報告)
arisa.(プロフ) - 更新待ってました嬉しすぎます😭 ちょっとずつで大丈夫なのでまた更新して下さると嬉しいです＾＾ (2022年8月24日 1時) (レス) @page38 id: ab602fbbda (このIDを非表示/違反報告)
たなか(プロフ) - 2016年からずっと読んでますまた更新嬉しすぎましたありがとうございます😭 (2022年8月24日 0時) (レス) id: 11c1363eba (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：HARU
| 作成日時：2019年1月4日 0時
