07.アセロラティー ページ7
降谷＆安室side
『…さん、れ…さ…零さん』
Aのりんと響いて、いつまでも耳に残る風鈴のような声。でも、Aは俺のことを“零さん”なんて呼ばない。…じゃあ、誰なんだろうか?
確かに、この声は彼女の声だ。俺は重い瞼をゆっくりと開けていく。そこには、少し幼いAの姿が映った。肩の辺りまで伸びた髪はパーマでもかけているのか、毛先は緩やかな曲線を描いている。
肌は白く、そのせいだろう。何かをつけているわけでもないのに、血色のいい唇が目を惹いた。風が吹くと、彼女の髪が揺れた。不意に甘い香りがした。何だろう。少しだけ考える。やがて答えに辿りつく。あぁ、桜の匂いだ。
『ごめんなさい、迷惑だったかな…?』
「いや、迷惑なんかじゃないさ。萩原に喜んで欲しいんだろ?」
Aはうん、と頷くと綺麗に並ぶ花束達を見つめている。
あぁ、これは…いつのことだろうか…?Aが突然、走り出した。後を追おうと一歩を踏み出したとたんに…――。
＊゜。゜。゜。＊゜。゜。゜。゜＊。゜。゜。
うっすらと太陽の光が差し込む。
「うぅ…」
頭が痛い…。二日酔いか…?見覚えのない部屋のソファーに寝かされている。自分のお腹の上に乗っているのは、女性もののジャケット。
これは昨日、バーでAが着ていた服だ。俺は彼女のジャケットにそっと手を伸ばして、顔を埋めた。桜の匂いが鼻をくすぐる。さっきの夢は一体、何だったのだろう…?Aの温もりを感じるために力強く抱き締める。
「…何やってんの、安室さん…」
コナンくんの呆れた声。後ろに顔を動かせば、毛利先生のひきつった顔と、蘭さん、園子さんの黄色い悲鳴を挙げている姿が見える。
時計の針は12時を指していた。…今日は、ポアロも公安も休みで本当によかった…。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 440人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
セニオリス - ちりさん» コメントありがとうございます。完結できるとは思わなかったので、本当に良かったです。続編の件はどうしようか迷い中です。楽しく読んで下さりありがとうございました!! (2019年1月27日 3時) (
レス) id: f671b24827 (このIDを非表示/違反報告)
セニオリス - Vermutさん» コメントありがとうございます!!そんな風に思っていただけて嬉しいです。読んで下さって本当にありがとうございました!! (2019年1月27日 3時) (レス) id: f671b24827 (このIDを非表示/違反報告)
ちり(プロフ) - 完結おめでとうございます！いつも楽しく読ませて頂いておりました！！続編あるなら楽しみです！もしよろしければ、結婚式する前や後や、結婚式の話も読んでみたいです！ (2019年1月25日 22時) (レス) id: 85512324d5 (このIDを非表示/違反報告)
Vermut(プロフ) - 完結おめでとうございます。最高のエンディングで感動しました。素晴らしい作品でした。こんな作品に出会えて嬉しいです。 続編の件、大賛成です！ (2019年1月23日 19時) (レス) id: 6de8030682 (このIDを非表示/違反報告)
セニオリス - 和美/美香さん» ありがとうございます!!これからも頑張っていくつもりですので、この作品をよろしくお願いいたします!! (2018年12月27日 20時) (レス) id: f671b24827 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：セニオリス | 作成日時：2018年12月24日 8時
