貴方に捧げる人生【梶裕貴】 (ページ21)

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Aside

『ありがとうございました』

私は深く頭を下げる。

昨日裕貴さんと沢山話して、沢山泣いてしまった。

裕貴さんが話を聞いてくれるのはこれが初めてな訳では無いけど、今までで一番嬉しかった。

裕貴さんは私の事を大切に思ってくれてる。

私もファンの一人としてではなく裕貴さんと一緒に暮らしている身としてとても大切にしてる。

Aを守る。

その言葉は重い一言。

裕貴さんの覚悟が詰まった優しい一言。

でも

私はその言葉が信用出来なかった。

嬉しさの反面、裏切ると思っていた。

今までずっと好きだった人が突然信じられなくなるのは自分でも驚いた。

人間誰しも隠すことはある。

私だって隠してることあるよ。

誰にも言ってない。

もちろん裕貴さんにも言ってない大きな隠し事。

隠し事というか、嘘、かな。

でも感情には嘘ついてない。

裕貴さんに迷惑だと思ったり、怒らせちゃうかなって思ったり。

もうこれ以上裕貴さんを困らせたくない。

だから終わりにしようと思った。

午後3時

裕貴さんの家に向かい下げた頭をゆっくりと上げた。

ここに私の住む場所はない。

出ていく時の荷物などスマホと財布。

裕貴さんと出会った時の格好そのまま。

私はもう二度と来ることのない家を背中に歩き出した。