story 66 ページ23
平和で幸せな2年だったのに
それは突然だった
なんの前触れもなく
俺と彼女の写真がネットで
拡散された
幸いなことに
その写真が撮られたのが
事務所の駐車場だったこと
彼女がうちのデザイナーだったことだ
事務所は仕事上の関係ですと
記事を出した
世間様に騒がれるのは
別にどうでもいい
心配なのは彼女だった
不安に押しつぶされてはいないかと
すぐにでも駆け付けて
抱きしめたかったのに
事務所から会いに行くなと
禁止令が出て
俺は宿舎に缶詰めにされた
何度掛けても
繋がらない電話に
俺の心臓は不安定に鼓動を刻み
今にも泣きそうだった
十数回目に掛けた電話
A「・・・もしもし」
「やっと繋がった」
A「・・・・・・うん」
「大丈夫じゃないよね」
A「・・・大丈夫」
「どこが」
A「・・・・・・グク」
「ん?」
A「もう会えない?」
「会えるさ。何言ってんだ」
A「・・・・・・じゃあ、大丈夫」
泣いてたのかな
鼻声で声のトーンが低くて
それでも大丈夫と言う彼女が
愛しくてたまらなかった
「今から事務所来れる?」
A「うん」
「1時間後に会おう」
A「わかった」
どうしても今日中に会わないと
後悔する気がして
こっそり宿舎を抜け出して
事務所に車を走らせた
彼女の仕事部屋がある廊下に出ると
灯りが見えて思わず走った
「A!」
A「グク」
俺を見るなり近寄って来た彼女は
半泣きで俺の胸に抱き着いた
小さい彼女が
この日はさらに小さく感じた
小さい肩が震えてるのが
申し訳なくて心が痛む
「ごめんね」
A「大丈夫だよ」
「大丈夫じゃないじゃん」
A「グク・・・・・・」
「んー?」
A「大好きだよーー」
「知ってる」
A「私も知ってる」
「ん?」
A「だから大丈夫」
「そっか」
この人なら大丈夫。
彼女なら大丈夫。
離れていくことは
もうきっとない。
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さるるん(プロフ) - KARINさん» コメントありがとうございます!!励みになります!!別れたりくっついたりグズグズになってしまって・・・汗。次は爽やかなstoryでと思いますが、これがなかなかですね・・・。アフターストーリーですね。検討します!!また次回作もよろしくお願いします!! (2023年4月11日 20時) (レス) id: 06617cdfda (このIDを非表示/違反報告)
KARIN(プロフ) - こんばんは!この度は完結おめでとうございます!2度目の別れの際はどうなるのかと思いましたが、最後は二人とも幸せになってくれたので良かったですいつかお時間があるときにアフターストーリなども書いてくださるとうれしいです次の新作も楽しみにしています (2023年4月11日 19時) (レス) @page37 id: a87d96d4f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さるるん | 作成日時:2023年1月29日 13時