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何もできないまま
ソウルに帰ってきた。
Aの面影の残る部屋は
嫌だった。
「ジミン?俺」
JM『どしたー?』
「まだ会社?」
JM『うん。今から出るとこ』
「呑みに行かないか?」
JM『んー、いいよー』
「タクシーで迎えに寄る」
JM『待ってるねー』
ジミンなら
どうしただろう。
Aの話を聞いて
その場で抱き締められただろうか。
会社の前でジミンを拾うと
よく2人で行っていた
居酒屋に向かった。
「おつかれ」
“カチン”
グラスの触れる音が
耳の奥に響いて
それが気持ち悪くて
左耳の耳たぶを引っ張った。
JM「有休って聞いたけど?」
「大田に行ってきた」
JM「先輩に会えた?」
「グクがいた」
JM「グク?チョン・ジョングク?」
「んー」
JM「で?それがなに?」
「Aは渡さないって」
JM「おっと〜」
「なぁジミン」
JM「ん?」
Aの生い立ちを話した。
そのせいで逃げたことも。
俺が選択を誤ったことも。
包み隠さず。
JM「テテは間違ってなんかないと思う」
「そうか?」
JM「それだけ真剣に考えるほど
A先輩が大事だってことでしょ?」
「・・・・・・・・・」
JM「勢いで抱き締めるのは
誰にでもできるよ」
救われた気がした。
そうだ。
俺は真剣に
Aに向き合おうとした。
真正面から。
JM「先輩、大丈夫かな?」
「・・・・・・・・・」
JM「テテ?」
「・・・・・・会いてぇ」
JM「馬鹿だなぁ」
「・・・・・・・・・泣けてきた・・・クソっ」
1人の女にこんなに執着したのは
初めてだった。
こんなに振り回されるのも。
些細なことを
こんなに後悔することも。
「ヤベぇ」
JM「俺、諦めて良かった」
「なんで?」
JM「テテの本気には勝てないよ」
「・・・・・・(。-∀-)フッ」
JM「どーすんの?」
「どーすっかな」
研修はあと1ヶ月もすれば
終わるはずなんだ。
でも・・・このままじゃ
アイツ戻って来ないかもな・・・。
とりあえずメッセージでも
送っとくか。
“A、会いてぇよ”
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作者名:さるるん | 作成日時:2019年10月22日 21時