story 26 ページ26
思わずテテの顔を見つめてしまった。
TH「あからさま過ぎねぇ？」
「な、何がっ!!」
TH「見つめんなよ。キスするゾ」
「また･･･そんなこと･･･」
配属先が営業になってから
1度も連絡してこなかったくせに
久しぶりに会ったからと
またなんで急にグイグイ来だしたのよ。
困ったお坊ちゃんね。
「帰りなさい」
TH「送る」
「バスで帰る」
TH「送って狼になる」
「馬鹿じゃないの？」
TH「なんで？本気だけど？」
「･･････」
テテに惹かれていることは
テテにだけは
絶対にバレちゃダメ。
抱き締められて
ときめいたけど
ここまで。
これ以上はダメ。
TH「あのさ」
「なに」
TH「俺は振られるのか？」
「･････････」
TH「真面目に聞いてんだけど」
テテに背中を向けて
パソコンに向かっていた私を
椅子ごと振り向かせたテテ。
苛立ちが顔に出てる。
「邪魔しないで、帰って」
TH「答えになってねぇ」
「･････････」
TH「俺の事、好きだろ？」
「･････････いいえ」
TH「好きなくせに」
「いいえ」
TH「最後だぞ。好きだよな？ん？」
「････････････いいえ」
TH「あっそ」
呆れたように
そう吐き捨てると
テテはオフィスからいなくなった。
パソコンに向き直って
キーボードに手を伸ばしたけど
視界が涙で歪んで
打ち込めなかった。
好きよ･･･テテ。
多分、最初から
惹かれてたんだと思う。
でも、この気持ちに
素直になることは
できない。
「もう･･･やだ･･･」
頬を伝った涙を
手でゴシゴシして
なかったことにした。
大田に早いとこ
行ってしまおう。
その日、深夜まで掛かって
テテに渡す資料と
引き継ぎの書類を作成して
課長のデスクに置いた。
会社を出たのは
深夜2時。
オフィスにいる間に
タクシーを手配していて
会社から出ると
既にタクシーが待っていた。
運転手「こんばんは」
「こんばんは」
家までの道のりが
いつもより遠く感じた。
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作者名：さるるん
| 作成日時：2019年10月22日 21時
