片想いの時間 3rd -EH-

story 104 -YS- ページ10

涙目で俺に笑顔で見送ってと言い残して
ウォニは出て行った。








別れた時もそうだ。








笑顔で別れようなんて急に言いやがった。



普通に｢おかえり｣って
言ったのに⋯。









何を考えてんだ⋯⋯。









『入りますよ』



ノックもなく、急に部屋に入って来たのは
ヒョクチェだった。



顔面蒼白で。








｢なんだ？｣

EH｢ヒョン⋯ヌナは？｣

｢帰った｣

EH｢ヒョン⋯⋯ヌナは⋯⋯⋯ヌナが⋯死ぬかも｣









耳を疑った。








死ぬかも？？？








｢なんだよ唐突に｣

EH｢アメリカに手術しに行くんだよ!!
死ぬかもしれないから、ヒョンと別れたんだ!!｣

｢⋯⋯⋯は？｣









ヒョクチェが説明してくれたけど
内容が頭に入って来ない⋯。









死ぬかも⋯⋯？ウォニが？









EH｢ヌナはいつ発つって？｣

｢知らない。聞いてない｣

EH｢ヒョン⋯⋯｣

｢意味分かんねー。お前、もう帰れ｣






ヒョクチェを帰らせて
思い返してみると
思い当たるウォニの行動がいくつかあった。








ヒョクチェの話を聞いて
全てのつじつまが合った。








1か月前、急に1人で旅行に行くと言い出して
行先も告げずに二泊三日で出掛けたこと。

夕飯の後は必ず一緒にワインを飲んでいたのに
ここのところ飲まなくなったこと。

この間、パソコンを借りようと
書斎に入った時タバコの匂いがしなくて
違和感があったこと。

突然、アメリカに行くと言ったこと。

話すには心の準備が必要なこと。

笑顔で見送ってと頼んだこと。









全部に説明がつく。








急いでマネヒョンに連絡して
退院の手続きをしてもらった。









そのままウォニの元へと向かう。









このままなんて
行かせるか。









笑顔で見送ってやる。









その代わり
待ってると、必ず帰って来いと
そう伝えよう。









タクシーに乗り込み
行き先を告げた。









愛してやまない
恋人の待つ場所を。

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