story 53 ページ17
車に乗り込むと
何も言わずAの家に向かった。
途中でマネヒョンに連絡して
見つかったと報告すると
助手席で声を殺して泣くAの
鼻をすする音が車内に響いた。
｢A｣
A｢･･･はい｣
｢辛いか？｣
A｢･･･平気だよ｣
｢そうか･･･｣
また平気だって言うんだな。
A･･･俺はお前のなんだ？なんだった？
A｢･･･オッパ｣
｢んー、なに？｣
A｢探してくれたの？｣
｢当たり前だろ｣
A｢ごめん･･･なさい｣
｢いいよ。見つかったから｣
A｢オッパ･･･ホントは･･･ホントはね｣
泣きながら話し出したA。
ちょうど家の近くに着いて
車を路肩に停めた。
｢なに？｣
A｢ホントは･･･すごく辛い･･･｣
｢･･･A｣
A｢色んな事が起こりすぎて
収拾できないの･･･あちこちが痛いの･･･｣
｢･･･ごめんな｣
謝ることしか出来なかった。
また傍に居たいなんて
図々しいことは言えなかった。
A｢･･･送ってくれて、ありがとう｣
車を降りて家に向かうA。
その小さな背中を抱きしめたかった。
でも、俺にはできない。
｢Aっ!!!｣
振り返ったAに
1人じゃないと伝えたかったのに
街灯に照らされて
ハッキリ見えたAの泣き顔に
我慢できなかった。
近付いてそっと抱きしめる。
｢守れなくてごめんな。
俺のせいで傷付けてごめんな｣
A｢･･･オッパ｣
｢俺が早く気付いていれば･･･ホント、ごめん｣
A｢･･････｣
｢こんな俺じゃ傍に居たいなんて言えないよな｣
腕の中のAが
ゆっくり俺を見上げた。
A｢オッパ･･･大好きだよ｣
｢･･･A｣
A｢オッパの傍に居たい｣
｢･･････｣
A｢私はオッパの彼女でいたいよ｣
俺だって･･･お前の傍に居たいよ･･･。
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作者名：さるるん
| 作成日時：2015年11月12日 6時
