story 52 ページ16
付き合うようになって
同時にデビューに向けての準備が始まって
2人で何処かに出掛けたことはない。
よって、思い出の場所なんかない。
何処に行ったんだ･･･。
漢江の川沿いの遊歩道も
2人で何度か行ったカフェも
Aの家にも
Aの姿はなかった。
考えろ。キム ジョンウン!!!
出会ったのは･･･あのスタジオか。
でもスタジオに行くはずないよな･･･。
じゃあ、カラオケか？
とりあえず行ってみるか･･･。
車をパーキングに停めて
歩いてカラオケに向かう途中、
2人で歌った公園を通り掛かって
足を止めた。
あの時はこれからのことに
ただワクワクしていたよな･･･。
どこで歯車が狂ったんだ･･･。
公園の端から端へ目線を走らせて
俺は見つけた。
Aを見つけた。
ゆっくり歩いて
公園の花壇に座り込んだAの前に
黙って立っていた。
10分くらい経っただろうか･･･。
見上げたA。
｢よぉ｣
A｢オ･･･オッパ？｣
マスクに眼鏡でも
お前には俺だってわかる事が
素直に嬉しいよ。
｢立って。行くぞ｣
A｢え？｣
｢ほら、置いてくぞ｣
回れ右をすると
車を停めたパーキングに向かう。
後ろにAの足音。
こんなに大事に想ってるのに
なぜ手放したんだろう。
自問自答を繰り返したけど
答えは見つからない。
俺はまだAを
好きでいていいのかな。
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作者名：さるるん
| 作成日時：2015年11月12日 6時
