story 64 -DH- ページ20
『だれ？』
｢俺だよ。ヒョク｣
ドアを開くと
その香りが強くなって
俺は冷静さを必死に保っていた。
EH｢なに？｣
｢ヒョク。俺、Aヌナと付き合ってるんだ｣
EH｢へぇー、そう｣
｢知ってるんだよね？｣
EH｢まぁ。ってか今更なに？｣
｢今日、Aの家に行ったよね？｣
EH｢行ったような？｣
｢ヒョクっっ!!!!!!｣
のらりくらりと返事をするヒョクに
腹が立った。
腕を掴んで
立ち上がらせると
目の前に立った。
ネックレスは？
いつも身につけてるのに
ヒョク･･･。
｢何しに行った？｣
EH｢言えないね｣
｢ヒョク!!!｣
EH｢ヌナに聞けば？｣
｢聞けなかった･･･だから今、お前に聞いてる｣
EH｢ドンヘ、俺は言わないよ｣
｢言えない事をしに行ったのか？｣
EH｢言えないことって？｣
｢･･････抱いたのか？｣
EH｢･･････｣
もう、終わらせるんだ。
なにもかも。
｢ヒョク｣
EH｢なんだよ｣
｢終わらせよう｣
EH｢･･･は？｣
｢もうやめよう。俺達｣
EH｢ドンヘ･･･｣
Aが可哀想だ。
俺とヒョクも。
笑顔にしたくて
幸せになってほしくて
傍に居ようと思ったけど
俺じゃダメなんだな、きっと。
｢俺、間違ってた｣
EH｢なにを？｣
｢ヒョクもAと同じくらい大事なのに
Aしか見てなくて、ヒョクとは
いつか元に戻れると思ってた｣
EH｢･･････｣
｢でも、間違ってた。
Aを選ぶべきじゃなかったんだ｣
何も言わなくなったヒョクの腕を、
立ち上がらせた時から掴んでいた腕を
そっと放して、ヒョクに背を向けた。
部屋から出る寸前に
ヒョクが小さく｢ごめん｣って言ったから
正直に言ったんだ。
｢許せないよ、本当は。
でも、許すことにするよ。
ヒョクはかけがえのない親友だからね｣って。
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作者名：さるるん
| 作成日時：2015年7月20日 17時
