story 28 ページ28
幸い前に送ったときの住所が
ナビに残っていた。
“ピンポーン”
“ピンポーン”
頼むっ!!!ヌナ!!!
『はい』
インターホンから聞こえたのは
知らない声
｢ヨン ウォニさんいますか？｣
？『どちら様？』
｢キム ジョンウンと言います｣
ちょっと待ってと言われて
門の前で待っていると
ロックが解除された。
門をくぐると左には芝生の庭
10メートルくらい先に玄関
玄関までのアプローチには
可愛い花が植えられて
かすかないい香りが鼻をくすぐった。
ドアを開けると
知らないアジュマ。
吹き抜けの玄関。
白い壁に
シャンデリアの光が反射している。
A｢あら、SuperJuniorの？｣
｢はい。イェソンです
あの、ヌナは？｣
A｢様子が変だとは思ってたんだけど
やっぱり何かあったのね。
2階よ。どうぞ｣
アジュマの案内で2階に向かう。
たどり着いた1枚のドア。
“コンコン”
返事はない。
ドアノブを握り、深呼吸をした。
｢ヌナ？｣
扉を開けると10畳ほどの部屋
向かいに窓があって
その前に大きめの机が置いてあった。
机の前に丸いテーブルと椅子が1つづつ。
その椅子にヌナは座って
本を読んでいた。
WH｢ジョンウン？｣
俺の方に向けた目は
潤んでいた。
薄暗くても分かるほど今にも泣きそうな
ヌナの悲しい顔だった。
｢大丈夫じゃ‥‥なさそうだね｣
大粒の涙がヌナの頬を濡らす。
ゆっくり近づいて
俺は跪きヌナを抱きしめた。
｢ごめん、守ってあげられなくて
傍に居てあげられなくて、ごめん｣
ヌナが椅子から降りて
俺の胸に収まった。
声を殺して泣いている。
俺は抱きしめることしかできなかった。
少し落ち着いてから
ヌナは俺に背をむけて足の間に座り
俺にもたれかかっていた。
俺は胸にあるヌナの小さな肩を
包み込んで
ヌナの暖かな小さな手を握った。
WH｢ありがとう｣
か細い声でヌナが言った。
｢ヌナ、1人で泣かないで。俺がいるから｣
WH｢心配してくれて、ありがとう
心配かけて、ごめんね。
私、もっと強くならないとダメだね｣
そう言ってヌナは悲しい笑顔で俺を見た。
俺は、ヌナの頬に手を伸ばし
涙を拭った。
唇に親指をそっと走らせる
ゆっくり顔を寄せ
ヌナと唇を重ねた。
ヌナは拒否しなかった
受け入れてくれた。
俺の手を優しく握って
応えてくれた。
その晩、俺はヌナと一緒に過ごした。
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作者名：さるるん
| 作成日時：2015年1月17日 0時
