story 21 ページ21
テレビ局の控え室。
｢振られた｣と口にして
俺の想いが溢れてとまらなくなった。
いつの間にこんなに好きになったのか
自分でもわからない。
あの悲しい笑顔は
俺に似ているのかもしれない。
いつも不安で寂しくて
ペンに囲まれて、愛されて幸せなはずなのに
突然に襲ってくる虚しさや寂しさから
逃れたくて……でも、逃れる術を知らなくて
俺はヌナにその術を求めている。
救うことで、きっと俺も救われる。
満たされる気がするんだ。
｢はい。でも‥‥
聞かなかったことにしたいって｣
LT｢そうか。諦められるか？｣
｢ヒョン、俺どうしたらいいですか？
振られたのに、ヌナに会いたい
どんどん好きになる｣
LT｢じゃあ、もう少し頑張れ
ヒョクが言ってたのも一理あると思うよ｣
『 そんな簡単に諦められるくらいなら
最初から近づかなきゃよかったんだ!!! 』
そうか‥‥。
ヌナの心にはまだ届いてないんだ。
俺が諦めたらダメなんだ。
｢ヒョン、俺
ヌナに会いたい｣
？｢今、テレビ局にいるよ
ドラマの打ち合わせがあるからね〜｣
ドアから顔を覗かせてドンヘが
嬉しそうに言った。
LT｢リハーサルまでに戻って来い｣
｢はいっ!!!｣
俺は控え室を飛び出した。
ドラマの打ち合わせなら
会議室のあるフロアーだ。
ドアを1枚づつ確認する。
それぞれに会議の名目が
書かれた張り紙がしてある。
ドンヘのドラマのタイトルを見つけた
“コンコン”
『はい』
ドア越しのヌナの声に
俺の胸に何か重たいものが伸し掛る。
ドアを開くとヌナがいて、
ヌナ以外は来ていないようだった。
WH｢ジョンウン｣
｢ヌナ、今ちょっといい？｣
ヌナが小さく頷いた。
横の椅子に座り
ヌナの椅子を強引に動かして
俺の方へ向ける。
深呼吸を1つ。
｢ヌナ、何も言わずに
俺の話を聞いて。
俺、ヌナが好きだよ。
聞かなかったことにしたいのは
わかるけど、この気持ちは
無かった事にできない。
俺、待つから。
ヌナの傍で待つから。
いつか俺と向き合って欲しい。
俺、しばらく韓国を離れるんだ。
メールしてもいいよね？
いや、メールするね
それだけ、言っておきたかった｣
意外と冷静に話せた。
最後に抱きしめたいのを
すごく我慢した。
頭に軽くポンと触れて会議室を後にした。
言うべきことは言った。
気持ちも伝えた。
後は傍で待とう。
ヌナが俺を見てくれる日を。
そして俺は韓国を離れた。
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作者名：さるるん
| 作成日時：2015年1月17日 0時
