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今まで玄関までしか見てこなかったお屋敷へ入る。
「食卓はお二階にございます。」
らせん階段を上って廊下に出た。
肌寒い季節なのにお屋敷の中はとても暖かった。
老夫婦への気遣いが感じられた。
ダイニングルームへ通され、銀の燭台にひとつずつ、ロウソクの火を灯していく。
その動作で分かった。この間 お屋敷を覗いた時の執事はこの人だったのだ。
「お着物はこちらでお掛けします。」
「あぁはい、ありがとうございます。」
ハンガーを片手に、私の荷物がどんどんかけられていく。
「主人は今休まれておりまして。私とでも構いませんか?」
「ええ。」
正直なところ嬉しかった。
スマートな動きや端麗な姿勢は、自分も仕事をしている時に真似をしたりしていた。
それでもやはり適わなくて。
二人きりで大きなテーブルに腰かけた。
遅めの夕食に、自分の働いている店のピザを食べるのは少し不思議だった。
目の前には姿勢の良い執事がいる。それなりに緊張した。
いつもなら一枚のピザだってすぐ食べ終えるのに、
1切れ食べるのも難しかった。
カチカチと音を立てる置き時計を見ると、既に11時をさしていた。
満月の絵画も本当に素敵だった。
吸い込まれるような漆黒の海に、光るひとつの月が綺麗だった。
「私が、あなたをおすすめしたんです。」
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うさぎ。 - 題名、住野よるさんの「また、同じ夢を見ていた」と同じですね。 (2018年2月21日 23時) (レス) id: 428b6fc747 (このIDを非表示/違反報告)
クンミン(プロフ) - 新作ありがとう。まだ内容が分からないからワクワクしてます。ほんとですよ^ ^ (2018年2月15日 15時) (レス) id: 1f2e7aa42e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あみ | 作成日時:2018年2月14日 22時