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『あの、その、向井くん…』
「…はい」
向井くんは気まずそうな雰囲気を察したのか、
お箸を置いて神妙な顔をしている
『昨日、恐らく…相当なご迷惑をおかけした気がするんだけど…』
ああ、口を開くのがこんなに辛いことない。。
「あ、あのな！でも、その！」
『ごめんなさい！！！私、何も覚えてなくて…』
被せ気味に謝ると暫し沈黙。。
「…」
『…』
「…はぁ！？覚えてへん！？」
ガタッと大きな音を立てて向井くんが立ち上がる
そうだよね、分かります。
こんなに迷惑かけておいてこのバカ女ってことですね。。
『ごめんなさい！！飲みすぎちゃって…今、パニックで…』
「…せやんな…。ごめん。でも！その！…何もしてへんから！」
『え？』
だって、酔っ払ってたし服乱れてたし…？
若い男女が一晩一緒にいたらさ？
「ほんまに…、Aちゃんが…その、ちょっと脱いでしもうたん直せる範囲で直したんやけど…ごめん。
でも！俺、ソファで寝たし…」
本当にパニック
頭追いつかない
何？私が脱いでしまった？
『え、じゃあ私、勝手に向井くんのお家来て、
向井くんを襲って…今ご飯までお世話してもらってるの…？』
「いや、襲ってというか…別に…」
真っ赤な顔でもごもご話す向井くん
最悪。
よりにもよってこんなに…！
同期一！
優しくて素敵な向井くんをこんなに困らせてしまうなんて…
私これ犯罪じゃないよね…？
向井くんが嫌だと感じればハラスメントか…？どうしよう
『本当に申し訳ない。帰ります。』
謝罪をし、一刻も早く立ち去ろう。
「え？もう？」
『ごめん、一回頭冷やして、もう一回謝罪させて。あの、服はお借りして…洗って返します。』
「気使わんでええよぉ」
『いや、ほんとに…。ごめん、これから、その、同じ部署でお世話になることもあるかと思うんだけど…大人しくなるべく迷惑にならないように頑張りますので…』
「ええ、なんでそんなよそよそしくなるん？一緒に頑張ろうや」
いや、なんで向井くんこそこんな私にそんな優しくできるの？
猛烈な申し訳なさからそそくさと帰る支度をして
『じゃ、失礼します！本当にありがとう、ごめんなさい！』
「気をつけてな！角のコンビニ曲がったらあとはまっすぐやから！」
『うん、、ごめん、それじゃ！』
走って駅まで行ってなんとか自分の家まで帰る
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作者名：mamatch | 作成日時：2023年9月20日 19時
