《歌い手》シェアハウスとか聞いてません｡《浦島坂田船》

貴｢あっという間に再会した。｣ ページ36

カラオケへ行き歌詞も覚えて、パート分けも完璧になった頃にはもう外は真っ暗だった。

貴｢今日はありがとね、さかたん。一日付き合ってもらっちゃって。｣

坂｢ぜーんぜん平気やって！俺もすごい楽しかったし！｣

貴｢あはは、それなら良かった。｣

帰り道を歩いていると、さかたんがコンビニによりたいと言うので二人でコンビニに入った。

どうやらさかたんはお腹が空いたらしく、肉まんか何かを適当に買うらしい。

外で待っていようかと思ったが、今の時期はやはり寒いので店内を適当に歩いていた。

すると、店内に無駄に背丈の高い特徴的な髪色の男を見つけた。

貴｢あれ、もしかして…。｣

そう呟いて逃げようとしても、時既に遅しというやつだ。

俺に気づいたその男は、慌てて俺に駆け寄ってくる。

まふ｢A！偶然だね！」

すると、その声につられるように、もう一人が顔を出す。

そ｢あれ、Aちゃん。昨日ぶりだね。｣

貴｢…まふ、そらるさん…どうも、偶然ですね。｣

今さらだが、俺はこの二人(特にそらるさん)が苦手だ。
だって何話していいか分かんないじゃん？

決して嫌いじゃないし、むしろAtRは大好きだしライブも一回だけ行ったことがある。

すっごく感動したし、二人の世界に引き込まれた感じがして楽しかった。

あ、話が逸れたな。

まぁとにかく、そんな訳で俺はこの二人と喋るのはあまり得意ではない。

そらるさんに関してはつい昨日会ったばっかだし。

まふ｢んふふ、短期間で二度もAに会っちゃった〜。｣

まふは何故か、とても嬉しそう。

貴｢そんな大袈裟な事じゃないだろ…｡」

呆れるように困った笑顔を向けると、余計に嬉しそうにするまふ。

まふ｢何言ってるのさ！僕、Aに会えて嬉しいもん！」

気持ちは嬉しいが、俺はほんとにどうしたら良いか分かんないんだよ。

どうしたものかと思っていると、いつのまにかちょっとした沈黙が流れていた。

ちょ、まじでこういうの勘弁してよ。

いやまぁ確実に俺のせいなんだろうけどさ。

とにかくなんでも良いから何か喋らなければ、と思って口を開こうとしたら、

坂｢A〜！お待たせ、帰ろっk…あ！まふまふ！そらるさん！」

絶妙なタイミングでさかたん(救世主)が来てくれた。

…ほんとに良い奴だね､さかたん。(しみじみ)

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