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もう
本当に限界だ。

そう思って、
意を決して席を立つ準備をした時

彼が土曜日の話をしてきた

何も考えてなかったけど、
会うわけにはいかない、
ということだけは自分の中で明白だった。

だから咄嗟に、
彼の言葉に被せるように
仕事を理由にキャンセルをお願いした。

また見透かされるだろうか。
いま、また心のうちがバレたら
取り繕う自信がない。

だから、改めて彼の目をしっかり見て謝った。

(うまくごまかせただろうか)

彼はすぐに承諾はしてくれなかったけど
土曜日の朝まで待ってる、
土曜日以外でもいいし、

と提案をくれた。

強引じゃない、優しさを感じる言葉に
また一つ深みにはまったような気がした。

緊張感のある会話で少し汗ばんだような気がした。

もうすぐこの夢のような時間は終わる。
そしてもう二度と会わない相手になる。
いや、テレビとかそういうので見るだけの人に。

さっきから泣いたりして
顔はボロボロだろう。
リップだってしばらく塗り直せてない。

最後くらい、とおもって
メイクポーチを持って化粧室へと向かった。

案の定、メイク直しがだいぶ必要な顔をしていた。
こんな顔で話してたなんて…
周りにたくさんモデルや女優さんがいる中
わたしは彼の記憶に何日残れるだろうか。

(何時間の間違いか、笑)

パウダーファンデを塗り直して、
目元とリップを塗り、グロスも塗る。

少し乱れていた髪も、
もうハーフアップを解いて
左に纏めて流した。

浅いコテで巻いた毛先にかけてのウェーブが
まだくるっと生きているのを確認して
化粧室を出た。