love u... 2 (ページ18)

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もうそろそろ、この空間から出ないと
ボロが出そうだった。
ここのデザートもきっと美味しいんだろうなって思ったけど…

ただ、名残惜しくもあって。

だって今日が最後で。

彼が別に芸能人だから名残惜しいんじゃない。
純粋に彼を知って、
自分の中に、知り合い以上の感情を感じる。

それに、自惚れかもだけど
彼からも同じく知り合い以上の感情を感じた。

…一目惚れしました
…今すぐ会いたいくらい気になってる

今日会う前に聞いたストレートな言葉。

今日はなんだか色々ありすぎたけど

化粧室まで迎えに来てくれた彼、
名前で呼んでって言ってくる彼、
見透かされてるって思うくらい
真剣に向きあってくれるとこ

もちろん、背が高いとこ、私より細いんじゃないかと思うくらいスタイルがいいとこ、綺麗、かっこいい顔、眼差し。

彼の全てが、深い沼のよう。

届いたサングリア風のノンアルドリンクは
眺めてただけで美味しそうだった。

アルコールは入ってないけど
深みのある赤ワインのなかで、
身を寄せ合うリンゴやオレンジが

まるで、
赤ワインの香りが広がる部屋の中に
一緒にいる彼と私を連想させた。

(何考えてんだか、今日で終わりなのに)

と一蹴しつつも、落ち込んで
やはりこの環境にいることの限界を再認識した。

何気ない会話を進めた。
当たり障りない、明日の予定を聞いた時、
彼はやっぱり芸能人、アイドルらしく

『アルバム作ってて』

と言った。
彼のアルバムは写真じゃないアルバム。わかってる。

やっぱり世界が違う。
もう関わっちゃいけない。
彼のためにも。

そう、忠告を受けたような刺激を感じる返事だった。

ーーじゃあそろそろ帰らないと。

と、
本当の気持ちの部分を裏切るような発言をした時、
彼がまた、名前で呼んでって言ってきて。

名前呼びなんて会社の男の子にも普通にしてるのに、
彼の名前が珍しいからなのか、
特別な気持ちを持つ相手なのに
これからがないからか、

そう、呼んだらダメだと頭が言っていた。
…でも彼の眼差しをみると、逃げられなさそうで。

樹くん、とそえて、今日のお礼を伝えた。

ただ、名前を呼んだだけなのに、
とても喜んでくれて。
これからも、そう呼んでと言われ。
この店にもまた一緒に、と目をキラキラさせて言う彼

(これから、ね…)

当たり障りない返答をしてから

もう、関わっちゃいけないと
自分に言い聞かせた。