love u... (ページ41)

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love u... × 田中樹　41 ページ41

「…こんばんは、」

ドアがノックされた瞬間、ここ最近で一番の緊張が全身駆け巡って、咄嗟に下を向いてしまった。

そして、ノックから一呼吸置いて聞こえた
松本さんの声。

少しの、いや、かなりの勇気を一瞬出して、
顔をあげる。

ーーーーえっ、？

まだ席につかず、ドア付近にたって、
ちょうどマスクを外した彼。

少し黒が目立つ赤髪
細いフレームのメガネ
ジーンズに、黒のパーカー
と、ゴールドのピアス、ネックレス、時計

彼の姿は、

私が松本さんの顔を思い出せないがために

仮で置き換えた田中樹くんそのものだった。

…あれ、どういうことだ、
松本さん、と待ち合わせて
で、、多分目の前にいるのは…

脳処理が追いつかない。

自分がどんな顔をしているか、
それが気になったのはだいぶ後だけど、

まだ座らず、少し気まずそうに頭を触った彼を
私はじっと見つめていた。と、思う。

『……座っても、いい、ですか？』

ドアがノックされてから
体感では10分くらい経ったような感覚。

ーーあ！あ、どうぞ……

均衡を破った彼の言葉に、条件反射的に返事をする

ただ、私はまだこの状況が理解できて無くて、
背もたれが高い、高級感ある木の椅子をひいて
やっと席に座れた彼を、
なんかもう見ることができなくて

じっと、机の真ん中の方をぼやっと見つめてどうにかこの状況を理解しようと努めた。