love u... (ページ21)

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love u... × 田中樹　21 ページ21

部屋に戻ると、夕方まで頑張って綺麗にした部屋が迎え入れてくれた。
あまりごちゃごちゃと物をおかずに、シンプルにこだわった部屋。

残り少なくなっていた
赤ワインモチーフのフレグランス。
買ってきたリフィルを注いで
スティックを調整。

いつも香っている赤ワインの芳醇で甘い香りが
より濃く部屋に広がった。

ルームウェアに着替え、部屋の香りを再度感じ、
ふと目に入ったのは
さっき買った赤ワインとチーズのおみや。

ーーご褒美第二弾！

部屋飲みだと安心感があって
自分を解放できる気がする。

ワイングラスを用意して
自分で注ぎ、チーズと撮り溜めたドラマをあてに
自分時間を楽しんだ。

時刻はそろそろ24:30

ワインもチーズも予想外に進んでしまって
家ということもあり久し振りに
酔ってることを実感する。

あんまり酔わないタイプだけど
ワインには弱い。
その分自分を解放できるお酒だから
すごく好きなお酒。

本当に信頼する友人と飲む時か
家じゃないと飲まないようにしている。

チーズの容器を縛っていたリボンを
ゴミ箱に捨てようとした時、
あのコースターが目に入った。

と、同時に、
『遅い時間でもいいんで、深夜でも』
と言った彼の言葉が脳に響いた。

多分、酔いのせいーー。

そこからなにも躊躇うことなく、
ゴミ箱からコースターを取り出し、

テーブルに置いてあったスマホに
コースターに書かれた電話番号を入力した。

そして、発信のボタンを押すのに少し
いや、割と勇気を出して、

ーー押した。

……♪

……♪

……♪

……♪

4コールが限界だった。
慌てて終話ボタンを押し
バクバクと音を立てる心臓に手を当てる。

ーーはー緊張した…。

あの彼はもう
わたしにこの番号を渡したことすら
忘れているのかもしれない。

ーーなにやってんだか！

ものの2分くらいの出来事で
すごく疲れた気がして
ご褒美はお開きに。

片付けをして、
さっとお風呂に入り
ベッドに入った。

時刻はまもなく1:00
土曜日になるとすぐ夜更かしをしてしまう。

目を瞑り、割とすぐに意識を手放した。