1197 ページ11
「・・・あ、さなさん！」
慌てて追いかけたけどそんな私の声も聞こえないくらいで。
すぐに閉まった玄関のドアを見つめてすごく胸が痛くなった。
あんな傷ついてる顔しているさなさん・・・初めて見た。
そろっとリビングに戻ると謙さんも悲しそうな顔してて、萩ちゃんが「やっすー？」と謙さんの顔を覗き込むけど謙さんは何も言わないままリビングを出て行った。
怜「・・・喧嘩してんの、初めて見た」
顕「俺も」
「うん」
美「何があったんだろ」
慧「モロ知ってる？」
翔「知らない・・・」
今回ばかりは知らない、とモロ先輩が口にする。モロ先輩が知らないことを私たちが知ってるはずもなく・・・その日は「明日には仲直りしてるといいね」ってみんなで言ってたんだけど。
佑「・・・、」
「・・・、」
美「・・・」
萩「・・・っ」
怜「・・・あ、」
顕「ん、」
翔「、、、」
謙「・・・」
誰も一言も話さない朝食がこんなに美味しくないなんて、知らなかった。いつもなら何か話しかけてくれるさなさんは黙々とご飯を食べていて。謙さんもいつもニコニコで朝からうるさいくらいなのに今日ばかりは不機嫌そうな顔で食事をしていて。
私たちも年長組がこんな雰囲気だと怖気付いて誰も喋れなくなってしまう。
何かを悟って何事もないように淡々とご飯を食べてるモロ先輩に、ちょっとキョロキョロして様子を伺いながら牛乳を飲む萩ちゃん、一切目線を上げない顕嵐。何度も私と目が合ってる困り顔のみゅうさん。たまに「これ美味しいね！」って笑ってくれる怜央くんが和めようしてくれるのが救いなんだけど・・・。
佑「・・・、」
謙「・・・」
それをちらっと見ただけでガン無視する二人。
一体、どうしてしまったんだろうか。
さなさんが先に仕事に行って、5分後に謙さんが「店行くわ」と家を出た瞬間にその場の空気が解けて怜央くんが「はぁ！この家で初めて息苦しいっていうのを体験した！」と目を丸くした。
慧「やりづらいからさっさと仲直りしないかな」
「ね」
顕「なんか内容が内容だけに触れづらいし」
美「確かに最近のさなぴー口数少なかったけど」
「・・・うん」
翔「まぁ、触れずに様子見るか」
怜「うん・・・」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1739人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：愛美
| 作成日時：2020年7月7日 21時
