StLtH26 (ページ50)

今日:2 hit、昨日:24 hit、合計:41,966 hit

1186 ページ50

家に着くと「みゅうさん」と甘い声で呼ばれたと思ってドキッとする。

この感じ、すげー久しぶり。

美「おいで」

そういうと素直に腕を伸ばして、抱き抱えるようとするとギュッと首に抱きついてきた。

美「っ、、、」

Aの匂い。髪の毛のシャンプーの落ち着く匂い。
理性を刺激する甘い匂いと戦いながら、なんとか部屋まで連れて行く。

美「よいしょ」

「んっ・・・」

美「ふふ(笑)」

こんなにぐーすか寝れるくらい疲れてたんだよな。
ベッドの上に寝かせると、Aがもぞもど動いて枕を抱きしめた。

美「(笑)」

「・・・っ、」

美「A」

「んっ、」

んー？と寝ぼけたように返事する。
呼ばれてることは分かってるけどもう頭は回ってないんだろうな。
おやすみ、と口にして頭をぽんぽんすると彼女が途端に「みゅ、さん・・・」と呟いて目を開いた。

美「どうしたの？」

ベッドから伸びた彼女の腕が俺の腕に触れる。
ベッドの端に腰を下ろすと彼女のゆるい視線が飛んできた。

美「ん？」

「きょう、ありがとう」

美「うん」

「いっしょでうれしかった」

美「ふふ、一緒で嬉しかったの？」

コクッと一回頷いて笑顔を見せる。
寝ぼけた自分がどれだけ可愛いか、知らないの？
そう思って「俺も嬉しかったよ」と頭を撫でると嬉しそうに目を細めた。

「・・・みゅうさんのつくったドレスきれーだった」

美「ありがとう」

「わたしもきてみたい、っておもった」

美「Aが着てくれるならいくらでも作るよ」

「・・・ほんと？」

美「うん」

「やくそくする？」

美「(笑)指切りげんまん？」

彼女の小指に自分の指を絡めるとAはさっきよりも可愛く顔を緩めて笑みを溢した。
彼女はチラッと俺を見ると急に真面目な顔して「みゅうさんがうらやましーな」と小さく声を零す。

美「うらやましい？(笑)」

そう聞き返すけどもう返事は返ってこなくて、とうとう０%になったAを見下ろして俺はクスッと笑う。
毛布をかけてあげるとAは気持ち良さそうに寝息を立てた。

俺が羨ましいなんて、この子は何を言うんだと笑いそうになるけど。

寂しそうに向けられた瞳が頭から離れなくて、彼女のことしか考えられなくなる。

何回も好きになる感覚を味わうのが可笑しくて俺は自分に向かって自嘲すると、「おやすみ」とその寝顔に向かって小さく呟いた。