StLtH26 (ページ44)

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ハ「え？」

タルーレの中は真っ暗で、足元にキャンドルで作られたルートがあるのを見つける。
緩いムーディーなBGMと、暖色系のライト。
足元には散りばめられた薔薇の花びら。
すごくロマンチック。

どういうこと？と思いながら進むと「Welcome, Haruka!」の文字を見つけた。

テーブルに置かれたボードに私と謙ちゃんの写真がいっぱいある。
付き合ったばかりの時や、みんなで集まった時の写真。
タルーレナイトやクリスマスパーティーの時も。

「ハルカへ」と書かれたメッセージがあるのに気付いて、それを裏返した。

【驚いた？(笑)わかっていると思うけど、俺が仕組んでました(笑)本当は1年記念日にしようと思ってたけど少し遅くなってごめんね。これが俺からの気持ちです。喜んでくれるといいな。そのまま進んでね】

そのメッセージを元にまた歩き進めると、これは謙ちゃんの計画だったのかとやっと分かって口角をあげた。

ブーケが置いてあるのを見つけるとまた別のメッセージカード。

【この1年ハルちゃんが側にいてくれてすごく楽しかったよ。改めて、1年記念日おめでとう。初めて出会った日には名前も教えてくれないくらいガード張ってたハルちゃんを昨日のように思い出すよ。そして、ハルちゃんが俺を受け入れてくれた時も昨日のように覚えてる。「謙ちゃん」って初めて呼ばれた時のことは一生忘れない。これからも、ずっと俺の隣にいてね】

そのメッセージを読んでクスッと笑みが溢れる。

私だって謙ちゃんと出会った日を昨日のように覚えてる。
そして、謙ちゃんに初めて抱きしめられたその日も昨日のように覚えてる。
ずっと覚えてる。弱い部分をすべて受け入れてくれる器の大きくて優しい男性の謙ちゃんに出会えて、本当に私はラッキーだよ。

浮かんでくる涙を耐えるように上を向いて「このまま進んで」とさっきと同じ指示に従うと、最後にみんなで撮った写真が飾られていた。

ブーケを片手にその写真を眺める。
タルーレのみんな。
常連のみんな。
謙ちゃんの大切な人たち。

全員、私の大切な人たち。

それを見たら今の自分が幸せすぎることに気付いて涙が止まらなくなる。

パッと急に目の前が明るくなって、照らされた先に信じられない文字。

大きく「Will you merry me?」の文字。

そして、大好きな笑顔。

謙「ハルちゃん」

「・・・っ、」

・・・こんなの反則だって。