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顕「じゃ、俺らはここで！」
サ「ハルさん、頑張って！」
ハ「え？え？」
タルーレに着くと車から降ろされてその向こうにミホコが待っていて「こっちおいで」と私を呼ぶ。
あれ？と違和感に気づく。
タルーレの雰囲気が変わっていて、扉の前にキャンドルが並べられている。
ミホコもいつもより綺麗な格好をしていて、「なにこれ？」と小さく訊くと私の手を引いてタルーレの前に立たせた。
ミ「多分聞きたいことが山ほどあると思うんだけど」
ハ「うん」
ミ「私から質問がある」
ハ「質問？」
真っ直ぐミホコを見つめるとその意志の強い瞳がキラリと揺れた。
ミ「・・・ハルカにとってこの場所はどんな場所？」
ミホコが私から視線を外してタルーレの看板を眺める。
その表情がいつになく真剣で、それがいつものテンションじゃなくて。
なによ急に、と思った。
けど、そんな横顔を見つめながら思い浮かぶ疑問よりもミホコの問いかけに答えたかった。
私も同じようにタルーレの看板を見つめる。
夜になると「TARO-OLE」の文字はライトに照らされて浮かび上がる。
夜に来ることが多かったからそれは見慣れた景色だ。
1年前にここを見つけてからいろんなことがあった。
その時は恋愛で辛かった時期で、唯一の楽しみがここに来ることで。
そして、樹くんのお陰で謙ちゃんに出会うことが出来た。
そして、１ヶ月もしないで謙ちゃんと付き合って・・・それからずっと楽しくて居心地が良くて。
この場所で告白された日に二人で見上げたタルーレの看板が一番綺麗に見えた。
ハ「タルーレは・・・」
謙ちゃんと付き合ってから、タルーレにもっと来るようになって。
樹くんだけじゃなくここに来る謙ちゃんの友達とも仲良くなって、私もこの場所でいろんな出会いがあって。
ハ「すごく特別だよ」
ミ「うん」
ハ「荷物を下ろしてリラックス出来てすごく楽しい場所」
ミ「うん」
ハ「謙ちゃんと出会った場所だし、どこよりも大切な場所」
私の人生においてカラフルな色を加えてくれた場所だ。
ハ「これからも私のお気に入りの場所」
見上げたその文字が、あの日と同じくらい綺麗だ。
ミ「そうだね」
頷いたミホコが「きっとこれからも特別な場所になるよ」と口角を上げると、タルーレの扉を開くように促した。
今日は、何が待っているんだろうか。
ーチリリン、
久しぶりにこんなドキドキしてる。
大きな期待を抱えて私はタルーレの扉を開けた。
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作者名：愛美
| 作成日時：2020年7月5日 14時
