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Haruka Side

ハ「・・・、」

先輩？と声を掛けられて「あ、うん？」と返事をすると疲れてますか？って疲れてますよね。すみませんと変に後輩に気を遣わせてしまって「大丈夫！」と返事して残りの書類を片付けた。

フライトの仕事に連日の新人教育にその他の仕事。
ベテランと新人に板ばさみなのはもう文句を言うまでもないけど、去年よりもハードな仕事を私は「辛い」と思うようになった。

着替えながら次はいつ謙ちゃんに会えるのだろうか？
付き合って1年の記念日も私の仕事のせいでまともに祝えなくて、謙ちゃんは記念日を覚えていたけど私に気を遣って休ませてくれたし申し訳ないばかりで。

こんなに会えない恋人、彼はどう思ってるんだろう。
付き合って1年をすぎて、不安が見え隠れする。
1年前は純粋に謙ちゃんといるのが楽しくて、謙ちゃんが恋人になってくれたからすごく精神的に安定して仕事もまた楽しいと思えるようになったけど、会えない日々が続けば続くほどまた不安になる。

ハ「こんなに恋愛脳だったかな」

私もこの一年で、随分変わってしまったな。
一人で家路に着きタルーレに向かいそうな足を引き止めて家に帰る。
まだまだ仕事があるからゆっくり出来る時間も少ない。

明後日に10時間以上のフライトがあるから持ち帰った仕事を早く終わらせて寝ないといけないんだ。

謙ちゃんに会いたいなぁ、とか思いながら今日も寂しく寝るんだろうなと考えながらマンションに入って家の鍵を回す。

ハ「・・・？」

玄関に綺麗に並べられた靴が誰のものか分かってハッとすると、靴の持ち主は「おかえり」と私を見つめた。

ハ「っ、」

謙「おっ(笑)」

持ってるものをすべて投げ出して抱きつくと謙ちゃんは慣れたように背中に腕を回してくれる。・・・愛おしい匂いだ。謙ちゃんだ。

ハ「・・・ただいま」

謙「お疲れ様、久しぶりだね」

会いたかった。
ただ、謙ちゃんに会いたかったよ。
感じる温もりが求めていたもので、身体を離すのも惜しい。

出来るだけ微笑んで謙ちゃんと目を合わせたら、すべて見透かしたように「すごく会いたかったよ」と言ってくれた。

ハ「うん、」

その一言で簡単に泣きそうになって、なるべく明るく「着替えてくるね」と声を掛けて部屋にそそくさと入る。

ハ「・・・っ、」

抑えてたのに、涙が出てきて末期だなと感じる。
こんなに弱かったっけ？

来てくれたのすごく嬉しいのに、涙が止まらない。