StLtH26 (ページ17)

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美「あの時さ、『人に甘えてないと生きていけない』って言ったよね。Aは本当はなにを俺に教えたかったの？」

みゅうさんはそう問いかけると、「言いたくなかったら言わなくて大丈夫だからね」と優しく微笑んだ。

「・・・みゅうさん」

美「ん？」

「みゅうさんは今の私を弱いと思ってますか？」

質問が返ってくるとは思わなかったのかみゅうさんの眉間に少し皺がよってから、「ううん」と首を降った。

「あの・・・うまく言えないんだけどね、」

美「うん」

「みゅうさん、いつか強くなれるよって言ってくれてホッとしたんだよねあの時」

美「・・・うん」

「わたし、バレエ出来なくなってから・・・本当に自分の人生の目標を見失ってしまってなにに向かって頑張って、毎日なにを糧にしていいか分からなかった。気持ちが迷子になって、本当におかしくなりそうだって時にじんが一緒に居てくれて、ずっとじんが甘やかしてくれて、結果なにもしないでも私はじんのお陰でそれなりに楽しく生活できてたんだけど・・・たまに私は一人じゃなんにもできないんだなぁとか考えちゃってて。自分がどんどんつまんない人間になっていくんじゃないかなぁって思ってたし、いっぱい変わりたかったんだけど変われなくてもどかしくて。変われない自分を、弱いなぁって思ってたの」

美「・・・」

「なんで私が変わりたいって思ったかわかる？」

これは・・・先生にしか言ってないことだった。
それを本人に言うことなんてないと思っていたけど、本当は少しだけ知って欲しかったんだと思う。

「みゅうさんが羨ましかったからだよ」

私がそう口にすると彼は目を丸くして私を見下ろした。「・・・おれ？」とみゅうさんの小さな声。それに私は頷いて彼を真っ直ぐ見つめた。

「夢に向かってキラキラしてたみゅうさんが羨ましかった。休む日もないくらい毎日忙しいのに、凄く楽しそうで・・・私も夢に向かってああなりたい、と思ってた。心の中でみゅうさんのことずるいと思ってた。私ができなかったこと全部やってて、ずるいって。・・・みゅうさんみたいに、なりたい」

美「・・・っ、」

「みゅうさんみたいになりたいと、思うよ。今でも」

美「A」

みゅうさんは突然の告白に戸惑ったように眉を下げた。