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私はあなたにいろんなものを貰いすぎたからちょっとだけお返しさせて欲しい気持ちをわかってかわかってないのか、みゅうさんはお会計に向かう私を困ったような笑顔で見ていた。
美「はい、好きなだけ食べて」
と言われた食べ放題でお誕生日の人よりも喜んで食べてる私をみゅうさんは頬づえをついて「美味しそうに食べるよね、お前」と目を細めてた。
「・・・、」
前にデートした時も同じような顔をしていたな、と思うと胸がまたキュッとした。
お腹がいっぱいになったのちに、二人でぶらぶらして。
ライティングされた広場のベンチに座って、目の前の噴水を見つめる。
「今日楽しかったなぁ」と思っていたら、みゅうさんが不意に「A」と私を呼んだ。
「ん?」
彼に顔を向けると、「俺、今日Aと話がしたかったんだよね」と呟いた。
「話、」
美「そう」
「・・・」
美「もちろん、Aが話したくないことは話さなくていいんだけど」
「うん」
美「俺、いろいろ知りたいんだ」
「Aのこと、もっと」ってみゅうさんは真剣な顔して私を見つめてから、「・・・ずっと、胸に引っかかってたんだよ」と苦しそうな顔を少し見せた。
美「Aが去年のクリスマス前にさ、言ってくれたこと」
「・・・、」
美「覚えてる?」
そうやって問いかけてくるみゅうさんに小さく頷く。
忘れるわけないよ、と心の中で返事をした。
美「A、すごい苦しそうだった」
「・・・」
美「Aはなにを思ってそんなに苦しかったのかなぁとか、助けて欲しかったのかなぁ、とか」
「うん」
美「俺なりに考えてたけどAに聞こうと思っても今まで躊躇っちゃって。情けないんだけどさ」
そういうみゅうさんに首を振って、「多分、前の私だったら答えてないと思う」と口にしてから「・・・だから、みゅうさんは悪くないの」と私は彼の目を見た。
美「A」
「はい」
あの時と同じだと思った。
ちょっと寒くなってきた空気。
みゅうさんの視線。
あの時、クリスマスを嫌いだと言う私を連れ出してくれた彼と同じだと思った。
・・・ぶつかり合う視線を逸らせなかった。
みゅうさんはあの時、「俺の前ではイイ子じゃなくていいよ」って言ってくれた。
頑張ってるのを隠してた私の気持ちを見抜いて、そんなことを言ってくれた。
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作者名:愛美 | 作成日時:2020年7月5日 14時