1149 (2020/7/8) ページ13
ふぅ、と息を吐いてスマホを握り直し髪を整える。なんでこんなに張り切ってるんだ、と思うけど本当に自分でも困るくらいおかしい。
この感情が久しぶりだ。
一緒に行くと思っていたのはわたしだけのようで待ち合わせ場所と時間を送ってきたみゅうさんは起きたら家に居なかった。
高鳴る胸が自分の感情がどこにあるのか教えてくれるように、一歩一歩その場所に近づくたびにみゅうさんへの感情を思い出した。
しょうがない。
だって、一度は好きだった存在だ。
って言い訳がましいけど、この気持ちは無視できないと思った。
緊張を解すように深呼吸をすると「A?」とその人は私の名前を呼んだ。
「あ、」
美「お待たせ」
「みゅうさん」
ちょっと照れくさそうに笑っては私を見下ろして「待った?」と首を傾げる。
みゅうさんの姿を見て思わず足が止まる。・・・パーカ、着てくれてる。上着の下のそのパーカーを見つめていたらみゅうさんが恥ずかしそうに「着てきちゃった」とはにかんだ。
「うん」
美「俺これ超気に入ってるんだよね」
「そっか」
気に入って貰えて嬉しいって口にすると彼は嬉しそうに目を細めて私を見下ろては「いこ?」と口にした。
「どこ行くの?」
美「内緒」
同じ歩幅で歩いてくれるみゅうさんの横顔を盗み見て今日は一段と楽しそうでこっちまで嬉しくなった。
美「はい、ここ」
「えっ?」
よく知ってるキャラクターのオブジェ。
ちょっと吃驚したけど、彼の意図は伝わってきて思わず彼の顔を見つめた。
美「スヌーピーミュージアム。」
「・・・うん」
美「Aと来たかったんだよねぇ、一度」
そう言ってくれたみゅうさんは優しく私を見下ろして私の表情を確かめると「一緒に来てくれる?」ともう一度私の意思を確認してくれる。
断るわけ、ない。
自分の行きたいところに私を連れってくれたり、私を何かと特別扱いしてくれるみゅうさんだけど、今日ばかりは本当にこの人に参った。
こうやって自分との思い出を広げて増やしてくれるみゅうさんにときめかずには居られなかった。胸がキュッと狭くなって、こんなずるい人に捕まってしまった自分はどうすればいいんだと頭を抱えたくなる。
「うん」
美「良かった」
みゅうさんの目を見て強く頷いた私にみゅうさんは安心して嬉しそうな顔を見せてくれた。
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作者名:愛美 | 作成日時:2020年7月5日 14時