StLtH26 (ページ11)

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鏡の前で「はぁ・・・」と息を溢したら、「Aちゃん？」と聞き慣れた声がして振り向くとサクラちゃんが立っていた。

お化粧を直すサクラちゃんがくっと口角をあげて「Aちゃんって美勇人くんがそんなに仲良しだったの知らなかったな」と口にするから曖昧に微笑んで少し頷く。

みゅうさんとのことは微塵たりともサクラちゃんに伝えていなかったからその反応が当たり前なんだけど、少しだけ後ろめたかったのはサクラちゃんには散々じんとのことで助けてもらったからで。

サクラちゃんは「最近楽しそうで良かったよ」と言うと黙り込む私に向かって不思議な顔を見せた後、戻ろう？と首を傾げた。

毎年のように10時以降は未成年が帰されるタルーレナイトで可愛い推しとその愉快なバイト仲間にハロウィンのお菓子を配って癒されたところで、毎回「連絡先教えてください！」という浮所くんをあしらってから「まだいる～～！」ぶーたれる言う怜央くんを回収しに行く。

「れおれお帰るよ」

怜「やだ～～～！！！！」

「もう」

謙「来年な？」

怜「来年まで待てない！！！」

ハ「可愛い(笑)」

佑「Aも我慢してんだからさっさと帰る」

怜「あらんは～～～！？」

顕「俺はもう誕生日来たもんね～」

「うっざいなぁ」

サ「(笑)」

ここは誕生日が来てないもの同士早く帰ろうね～？というけどぶーたれる怜央くんの文句は止まらないしちょっと厄介だなと困ってたら「ほら、帰るよ」とみゅうさんが怜央くんを立たせてくれた。

「みゅうさんも帰るの？」

美「一旦帰るよ、どうせ朝までここにいるんだから」

「それ去年も聞いたな」

美「(笑)俺まだ飲んでないからやっすー車借りんね～」

謙「うん、ついでに家に車戻しといて」

美「はいよ～」

謙さんに断りを入れたみゅうさんは「Aも行くよ」と私を呼ぶとそそくさと階段へと足を向けた。その場にいるみんなに「帰りますね！ありがとうございました！」と頭を下げてみゅうさんの背中を追いかけた。

車の中でも文句が止まらなかった怜央くんに苦笑いしてすぐに家に着くと、文句を言ってた割にはすぐに「風呂入って寝るわ」と切り替えて上に登っていくのを見つめてみゅうさんと顔を見合わせて苦笑い。

美「俺も着替えるわ」

「あ、・・・はい」

時計を見つめるとみゅうさんの誕生日が終わるまであと１時間半だった。
今のうちに、と思って部屋に戻って隠してたその紙袋を手にしてふぅ、って息を吐いた。