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美「ん」
「ありがとう」
率先してカートを持ってきて押してくれるからいつもの優しいみゅうさんだけど、表情だけは一切晴れないから「なんだろう?」と思いながら先を歩いて食材をカートに入れていく。
なにも言わずカートを押しては、私の代わりにメモを読んでくれるし、助かるなぁと思ってたら急に「ねぇ」と声を掛けられた。
レジに並ぶと思ったよりも混んでてあと10分くらいは掛かるなぁと考えながら「はい」とみゅうさんに顔を向ける。
美「いつも一人でこの量の買い出ししてんの?」
「うーん、この量はたまにかな」
美「で、歩いて帰ってんの?」
「その時もあるけど、今日みたいに誰かが車出してくれると助かってる」
美「そっか」
今まででも買い出しに付き合ってくれた率が高いのはみゅうさんなんだよ、と思いながら「今日はありがとう」と言うと「いや、こっちがありがとうでしょ?」と微笑んだ。
「・・・、」
美「買い物行ってご飯も作ってくれるなんて大変でしょ」
「うん、でも楽しい」
美「そっか」
今日初めて笑ったのに安心して。
懐かしい感情になって、改めてみゅうさんは帰ってきて近くにいるんだなぁと思う。
みゅうさんに微笑み返すと同じように微笑んでくれた。
夕飯前にちゃんとモロ先輩をみゅうさんに起こしに行ってもらったのに全然起きなくて結局二人で食べることになって、「あれ?この感じ久しぶりだ・・・」と思いながら向かいを見つめた。
美「なんか静かだな」
「うん」
美「最近みんな忙しいしね」
「うん・・・」
美「割と寂しいね」
「そうだね」
この前はあなたの席が空いたままだったんだけどね。
「自分が忙しい時は楽しくて夢中だから気づかないけど、相手は結構寂しいんだよ」
私が何気なくそういうとみゅうさんは箸をピタリと止めて「・・・俺のこと言ってる?」と目を丸くして私を見てきた。
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作者名:愛美 | 作成日時:2020年7月5日 14時